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ふるさと納税の意外な落とし穴!?返礼品(特産品)は一時所得として課税の対象になる!

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「ふるさと納税をすれば、所得税と住民税が減るだけでなく、肉や果物などの返礼品ももらえるから良いこと尽くし!」

そう思っていませんか?

あまり寄付をする時点では気にしている人もいない様ですが、ふるさと納税には実は意外な落とし穴があります。

それは何かと言うと、「返礼品をもらうと、逆に税金が発生する事もある!」のです。

税金を減らすためにふるさと納税をしているのに、逆に税金が増えてしまっては本末転倒ですよね・・・。

一体どういう事なのでしょうか、以下でわかりやすく解説していきますね。

目次

ふるさと納税とは?制度を簡単におさらい!

「ふるさと納税がどういう制度なのか」という点については、このページを訪れた人であれば既にある程度理解しているでしょうが、一応簡単におさらいしておきますね。

ふるさと納税は、至極簡単に言うと所得に応じた一定の金額(上限額)までであれば、自己負担金2,000円で自治体から返礼品をもらう事の出来る制度です。

自治体に一定額の寄付をすれば、2,000円を引いた金額分の所得税と翌年度の住民税が控除され、さらに自治体から返礼品がもらえるという至れり尽くせりな制度ですね。

シミュレーションするのであればこのサイト!

具体的な上限額は寄付をする方の所得によって異なるので、「さとふる」などのポータルサイトでシミュレーションをして各自確認する様にしてください。限度額を超えて寄付をしてしまうと、自己負担額が増えてしまい損をしてしまいますよ(純粋に寄付をしたいのであれば止めませんけどね)。

さとふるの控除額シミュレーションページはこちらから

しかし、そんな至れり尽くせりな制度にも落とし穴があるのです。それは一体何なのか・・・以下で見てみましょう。

ふるさと納税の返礼品(特産品等)は一時所得の対象!

では、簡単にふるさと納税についておさらいをしたところで、本題に入りましょう。

「返礼品をもらうと税金が税金が発生してしまう」という事ですが、これは返礼品が所得税法の一時所得に該当するのが理由です。

この点、国税庁のホームページでは以下の様な記載があります(リンク先は魚拓です)。

ふるさと寄附金の謝礼として受ける特産品に係る経済的利益については、所得税法第9条《非課税所得》に規定する非課税所得のいずれにも該当せず、また、地方公共団体は法人とされていますので(地方自治法第2条第1項)、法人からの贈与により取得するものと考えられます。したがって、特産品に係る経済的利益は一時所得に該当します

「ふるさと寄附金」を支出した者が地方公共団体から謝礼を受けた場合の課税関係|所得税目次一覧|国税庁

「法人から贈与で取得したものなので一時所得になる」と書いていますが、ちょっとこれだけでは難しいですし「一時所得」という言葉が出てきたので「一時所得が何なのか」から簡単に説明していきましょう。

一時所得とは?

一時所得が何なのかについては、所得税法第34条第1号に記載があります。

第三十四条 一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。

条文を読んでもよく意味がわからないかもしれないので、さくっと説明しましょう。

所得税の対象となる所得には、以下の10種類があります。

  • ①利子所得
  • ②配当所得
  • ③不動産所得
  • ④事業所得
  • ⑤給与所得
  • ⑥退職所得
  • ⑦山林所得
  • ⑧譲渡所得
  • ⑨一時所得
  • ⑩雑所得

このうち、一時所得になるのは①〜⑧のどれにも該当しない一時的に発生した所得です。

参考:雑所得は①〜⑨のどれにも該当しない所得です。年金が最たる例ですね。

一時所得に該当するものとしては、例えば以下の様なものがあります。

  • 懸賞や福引でもらった賞金や賞品
  • 競馬や競輪で当選したときの払戻金
  • 生命保険や損害保険の一時金や満期返戻金など
  • 法人から貰った(贈与された)お金や品物
  • 落し物を見つけたり埋蔵物を見つけた際に貰ったお礼(報労金)

参考:業務に関して受け取るものや継続的に受け取るものは除きます。

出てきましたね、法人から贈与されたお金や品物。これが、ふるさと納税の返礼品に該当するという訳ですね。

一時所得の計算方法

電卓で計算する女性

一時所得の計算は以下の計算式によって行います(所得税法第34条第2項・3項)

一時所得の計算式

総収入金額−収入を得るために支出した金額(必要経費)−特別控除額(最高50万円)

「一時的に得た収入から税金をたくさん取るのはかわいそう!」という理由からどうかはわからないですが、最高50万円までの特別控除枠が設けられていますね。

例えば、生命保険の一時金として150万円貰った場合、一時所得の金額は以下の通りとなります(必要経費は40万円とする)。

150万円−40万円−50万円=60万円

しかも、これだけでなく他の所得と合算して所得税額を計算する際には、さらに1/2にする事になっているのです。

従って、60万円×1/2=30万円が最終的な税金の対象となります。貰った金額と比べるとだいぶ税金の対象となる金額が減っていますね。

:懸賞金付預貯金の懸賞金や、一時払養老保険・一時払損害保険等(保険期間が5年以内の一定のもの)の差益については、受け取りの際に源泉徴収されているので確定申告は不要です(というか出来ません)。

ふるさと納税の返礼品はどうやって一時所得の計算をする?

ふるさと納税の返礼品が一時所得として税金の対象になる事が分かりましたね。

では、実際に返礼品を受け取ったとして、税金の計算はどの様にすればいいのでしょうか?項目毎に見ていきましょう。

【総収入金額】ふるさと納税の返礼品はどうやって評価額を計算する?時価は?

お金を貰った場合、貰った金額そのものが収入金額となるので特に悩む必要はありません。

しかし、ふるさと納税では寄付のお礼としてお金を貰うのではなく、あくまでも品物がメインです。品物を貰った場合は一体どの様にして収入金額を計算すればいいのでしょうか。

この点、返礼品の評価は難しい問題ですね・・・。

金銭以外の物品等で賞品を受け取った際の評価額としては、所得税法施行令321条及び所得税法基本通達205-9で規定されており、列挙されているいずれにも該当しないので「そのものの通常の小売販売価額(いわゆる現金正価)の60%相当額」として評価する事も考えられます。

ただし、これはあくまでも賞品のケースなので、ふるさと納税の返礼品にそのまま適用する事は出来ないでしょう。

貰った返礼品の小売価格や時価を全て調べるなんて実質的に不可能ですしね・・・。

従って、一番良いのは管轄の税務署に直接行くか電話をして、評価の方法を聞く事です。

税務署に電話をしたら、一般的な質問は「国税庁電話相談センター」に転送されます。しかし、電話相談センターはあくまでも一般的な回答なので、個別具体的な疑問に対して明確な答えを求めると「管轄の税務署に電話してください」と言われる可能性が高いです。

【総収入金額の補足】ふるさと納税でポイントに交換した場合はどうなる?

「ふるさと納税は年末までにしないといけないけど、欲しいものがすぐに見つからない!」という方もいるでしょう。

そういう場合のために、お金を年内に払ってポイントをもらい、年が明けてから返礼品を選ぶことのできる「ポイント制」があります。

ポイント制を利用すればゆっくりじっくり返礼品を選べるので、慎重に選びたい方は結構重宝しますよね。

では、ポイント制を利用した場合、どの時点で一時所得の総収入金額を認識すれば良いのでしょうか?

参考:ポイント制を使わなくても、年末近辺に寄付をすると返礼品が年明けになる事は普通にありますし、返礼品が届く月を指定できるものもありますよね。これらの場合も同様です。

この点、所得税法基本通達36-13では以下の様な記載がされています。

一時所得の総収入金額の収入すべき時期は、その支払を受けた日によるものとする。ただし、その支払を受けるべき金額がその日前に支払者から通知されているものについては、当該通知を受けた日による。(一部省略)

つまり、以下のどちらか早い方の日に収入として計上するという事ですね。

  • 返礼品を実際に受け取った日
  • 返礼品の発送通知があった日

従って、年末近くに寄付をすると、返礼品は年明けに届くケースが多いので、その場合は翌年に一時所得として計上する事になるでしょう。

【必要経費】ふるさと納税で寄付した金額は一時所得の必要経費になる?

一時所得の計算では、まず総収入金額から必要経費を引きますよね。

ここで、疑問が出てきませんか?

「必要経費に寄付金の額は含まれるの?」という点です。「返礼品を貰うために寄付をしたのだから必要経費だ!」と言いたいですよね。

しかし、残念ながら答えはNoです。寄付金の額は必要経費に含まれません

なぜなら、一時所得の計算上差し引くことのできる必要経費は、

その収入を生じた行為をするため、又は、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額

に限られているからです。確かに、ふるさと納税をしなければ返礼品をもらえないので「直接要した金額だろう」と言いたくもなりますが、ふるさと納税の目的はあくまでも寄付ですよね。

寄付をした結果、お礼として特産物などをもらえるだけなので、返礼品を貰うためにお金を出したとは言えません。

それに、仮に寄付した金額が必要経費になるのだったら、返礼品が寄付金額を超える事は無いので一時所得なんて話がそもそも出てこないですからね(「返礼品は寄付金の30%程度まで」と総務省から通達が出ている)。

【特別控除】ふるさと納税をどれくらいするとが確定申告が必要になる?

ふるさと納税をしたからといって、全員が全員一時所得として確定申告をしなければならない、という訳ではありません。

それは、一時所得を計算する際に特別控除として50万円を差し引くことが出来るからです。つまり、最低でも返礼品として貰ったものの価格が50万円を超えなければ確定申告をする必要はない、という訳です。

返礼品の金額が50万円を超える方なんてそうそういません。従って、基本的にふるさと納税をしたからといって一時所得の申告をする必要は無い、と思っておいて良いでしょう。

ただし、返礼品を貰った年に他の一時所得がある場合は要注意です!

例えば、生命保険の解約返戻金として48万円(必要経費控除後)受け取っていて、ふるさと納税の返礼品が5万円あった様なケースでは、一時所得の金額が3万円(=48万円+5万円−50万円)となり確定申告が必要となります。

また、年収がとんでもなく多くてふるさと納税で寄付を大量にした方も注意が必要ですね。

仮に返礼品の時価が寄付金の一律30%だったとしましょう。その場合に50万円分の返戻品を貰おうとすると、約167万円の寄付が必要となります。

ふるさと納税の上限額が167万円になるには年収4,500万円くらい必要です。4,500万円・・・かなりの高収入なので、普通の方には縁のない金額ですね。

参考:平成28年分民間給与実態統計調査によると、年収2,500万円超の方は17万人弱(全体の0.3%)となっています。2500万円超で17万人なので、4,500万円超となると相当少ないでしょうね。

仮にふるさと納税によって一時所得が出る可能性があるとしても、それが理由でふるさと納税をやめる必要は無いですよ!上述した様に一時所得は優遇されているので、それで発生する税金は基本的に微々たるものになるはずです。

まとめ

ふるさと納税をした場合に、一時所得として課税されるケースがあるという事について書いてきました。

結論としては、「基本的に一時所得として確定申告をする必要はない」のですが、稀に申告が必要なケースも出てくるので注意しておきましょう。

ふるさと納税は、寄付をする方にとってほとんどデメリットがない(通常の納税時期よりも先にお金は出ていきますけどね)制度なので、上限額までは活用すると良いと思いますよ。

さとふるの公式サイトはこちらから

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