MENU

【現役税理士が教える】会計事務所・税理士の選び方・注意点

当ページのリンクには広告が含まれています。

今まで個人事業主として自分で確定申告をしてきた方も、法人を設立すると自分で確定申告書を作らずに税理士に依頼するケースが多いです。

少し古い情報ですが、参考までにデータを示しておくと、令和4年度のの法人税申告で税理士が関与している割合は89.5%となっています(参照元:令和4事務年度国税庁実績評価書 : 財務省

これは、法人の確定申告書は個人の確定申告書と違って作成するのが難しく、自分で勉強して作る事を考えると、税理士に依頼した方が圧倒的にコストパフォーマンスが良いからですね。

ちょっと前に簿記を勉強した事が有るから何とかなるだろう・・・と思わない方が良いですよ。法人の確定申告は簿記と別物です!

では、税理士に法人の確定申告をお願いするとして、どの様にして税理士や会計事務所を選べば良いのでしょうか?

税理士は、令和6年4月末現在で全国に81,073人います(参照元:税理士登録者数 – 日本税理士会連合会。この中から自分に最適の税理士を探すのは至難の業ですよね・・・。

そこで、ここでは会計事務所や税理士の選び方・注意点について、現役の税理士が紹介していきます!

目次

会計事務所にも色々なパターンが有る!

会計事務所や税理士と言っても、街中を歩いていると様々な屋号の看板を見かけますよね。

一般的に、会計事務所には以下の様な屋号のパターンが有ります。

  • ○○公認会計士事務所
  • ○○税理士事務所
  • ○○公認会計士・税理士事務所
  • ○○税務会計事務所
  • ○○会計事務所
  • 税理士法人○○

屋号に公認会計士が付いている場合は、事務所の代表者が公認会計士の資格を持つ税理士という事ですね。屋号上は公認会計士事務所としか書いていなくても、基本的には独立している公認会計士の殆どが税理士登録もしています。

:稀なケースですが、税理士登録していない公認会計士もいます。その場合は、その公認会計士は税理士業務をする事が出来ないので、確定申告の依頼をする事は出来ません。

○○税務会計事務所や○○会計事務所といった屋号の場合も、基本的に公認会計士か税理士が経営しています。

つまり、屋号に関わらず税理士登録をしている方が経営している事務所であれば、業務内容は基本的に同じという事ですね。

参考:税理士の登録上の事務所名は皆「(フルネーム)税理士事務所」と決まっています。例えば、納税太郎さんが税理士事務所を開設すると、「納税太郎税理士事務所」が事務所の正式名称です。但し、正式な事務所名とは別に屋号を自由に決める事が出来るので、様々な名前の事務所が存在しています。

なお、一般的に小規模の税理士事務所は代表者が税理士で、それ以外のスタッフは資格の無いケースが殆どです。

「資格のないスタッフが対応してくるのが不満」という方をよく見かけますが、1人で事務所運営をしている税理士事務所以外は、基本的にスタッフが対応をする事になるので、致し方ない話なのですね。

参考:税理士法人の場合は、最低でも税理士が2人います。

税理士資格を持っていないニセ税理士は×

確定申告書書の作成や税務相談といった業務は、税理士の資格を持った方しか出来ません(参照元:No.9204 にせ税理士にご注意|国税庁

参考:一部、弁護士で税理士業務をする事が出来るケースも有ります。

しかし、税理士資格を持っていないのに確定申告を請け負っている方が結構いて、度々問題になっている様です。

記帳代行会社やコンサルティング会社を経営しているけど、代表者が税理士資格を持っていないというケースが有ります。これ自体は特に違法ではないのですが、その記帳代行会社等が税務相談や確定申告書の作成などを行うと税理士法違反です。

また、中には税理士以外の士業の方が、サービスの一環として個人の確定申告書の作成などを請け負ってしまっているケースも有る様ですね。

無資格者が税理士行為をする事自体問題ですが、さらに困った事に、こういった無資格者が確定申告書を作成するケースでは、納税者に対して脱税指南をするケースが多い様なのです。

税理士は適正な税の申告をする事が使命ですし税理士法第1条)、それに違反すると懲戒処分を受ける事が有ります(税理士法第45条)。従って、税理士が脱税の相談に応じるという事はまず無いでしょう(中には脱税相談に応じて業務停止となる税理士もいますけどね)。

脱税は犯罪ですし、発覚すると多額の罰金を払わされる事になります。ニセ税理士と付き合っても良い事は無いので、絶対に付き合わない様にしましょうね。

会計事務所・税理士の選び方

以下では、会計事務所・税理士を選ぶ際に注意すべきポイントを紹介していきます。

顧客層を教えてもらう!

税理士事務所は、それぞれたくさんの顧客を持っていますが、顧客の業種はバラバラです。最近は、飲食店や病院、相続税申告などに特化している税理士も増えて来ましたが、まだまだ少数派で、基本的には業種を選ばず所得税や法人税の申告をしている事務所が殆どですね。

しかし、世の中には様々な業種が有るので、たくさん顧客を持っている税理士でも自分と同業の顧客を持っているとは限りません。そこで、税理士と話をする機会があれば、どの様な顧問先がいるのか確認した方が良いでしょう。

特に最近だと、ネット関連の業種が増えて来ていますが、高齢の税理士の場合はネット関連の話に疎いケースが多いです。自分の業種の事を知らない税理士に仕事を依頼するのは何だか不安ですよね・・・。

逆に、自分の業種の話をしてすぐに反応が返って来る様であれば、その業界について詳しく知っている事が考えられるので、安心して仕事を依頼する事が出来ますね。

参考:税理士によっては、今まで関与した事の無い業種について難色を示す事が有ります。税金に対する根本の考え方は同じでも、業種によって処理の仕方などが異なり、間違った処理をしてしまうリスクが有るからですね。

訪問や対応の方針を聞く!

税理士によって、訪問の頻度や業務のスタイルは異なります。

毎月の様に顧問先を訪問する事を前提にしている事務所や、基本的に訪問はせずに電話やメールでのやりとりで済ませる方針の事務所、中には一ヶ月の電話や質問に回数制限を設けている事務所も有る様です。

1年に1回だけ確定申告の時期に会うだけでいいと思っている方にとっては、毎月の訪問は不要ですし、逆に毎月会って色々話を聞きたいと思っている方にとって、訪問が無い事務所は嫌ですよね。

従って、税理士がどの様なスタイルで仕事をしているのかは聞いておいた方が良いでしょう。

他の士業の先生と連携出来ているかどうかをチェック!

税理士というと、何でも聞く事の出来る町医者の様なイメージが有りますよね。実際に、税金以外の話でも気になる事が有ったらまず税理士に質問をする、という方も多いでしょう。

しかし、税理士も万能では有りません。法律関係であれば弁護士や司法書士、不動産関係であれば不動産鑑定士や宅建士、社会保険関係であれば社会保険労務士などの方が当然詳しいです。

そこで、税理士が他の士業の先生としっかりと連携出来ているかどうかを確認した方が良いでしょう。

必要に応じて、税理士が他の士業の先生に質問をしたり顧問先に紹介をしたり出来る状態になっていれば、自分で1から専門家を探す必要が無いですし、税理士が提携している士業の先生なので、安心感も有りますよね。

税理士業はサービス業という認識を持って接してくれる税理士かどうかをチェック!

税理士は専門職ですが「サービス業」の1つです。

それなのに、サービス業という事を忘れて顧客の満足いくサービスを提供する事を重要と思っていない税理士も結構います。

その結果、客に対して上から目線で偉そうな態度を取ったり、節税や経営分析等の提案も一切しない税理士に出会う事も多いでしょう。そういった税理士に当たってしまうと、後になって不満が出て来るかもしれないですよ。

そこで、税理士がサービス業という認識を持っているのかそうでないのかは、契約をする前にチェックしておく事をオススメします。具体的には、税理士やスタッフの話し方、レスポンスのスピード、顧問料に関する説明などから判断する事になるでしょうね。

節税対策をしっかりと教えてくれる税理士かどうかをチェック!

税理士の中には、節税対策をしっかり教えてくれる税理士とそうでない税理士とがいます。

しかし、基本的には節税対策についてはあまり色々教えてくれない税理士が多いと思っておいた方が良いでしょう。年配の税理士の中には積極的に納税を進めてくる方もいる程です。

これは、きっと多くの税理士が「節税の方法を提案する事は契約に含まれていない」、と考えているからですね。

仕事を依頼する側からするとなんだか残念な話ですよね。申告書を作るだけであればどの税理士でも出来ます。しかし、納税者は通常、申告書を作るだけでなく効率的に節税をする方法までを求めていますよね。

従って、節税対策をしっかりと講じてくれるかどうかは税理士を選ぶ際にチェックした方が良いでしょう。

節税の方法は業種によって異なります。一度、自分の業種ではどの様な節税方法が有るのか質問してみてはどうでしょうか。節税方法として役員の生命保険しか出て来ない場合は、節税対策についてあまり期待しない方が良いでしょうね・・・。

参考:これだけを見ると役員の生命保険があまり良く無い様に感じるかもしれないですが、役員の生命保険自体は有効な節税方法です。ここで言っているのは、「他にも業種に応じた節税方法が色々と有りますよね」、という意味ですね。

顧問報酬が明瞭会計かどうかをチェック!

元々税理士の業界には税理士報酬規定というものが定められており、報酬の上限額が決められていました。従って、基本的にどこの会計事務所に業務をお願いしても、報酬は似たり寄ったりで大差が有りませんでした。

ところが、平成13年の税理士法改正によってこの報酬規定は撤廃され、現在は各事務所が自由に報酬を決めています。

その結果、報酬が高い事務所もあれば極端に安い報酬で顧問先を確保し、数で勝負する事務所も有るというのが実情です。

経営者にとって税理士の顧問料が安いのは嬉しい事ですが、残念な事にホームページなどで明確に報酬の基準を公開している事務所はあまり多く有りません。実際に税理士に有って話を聞いてみないと、年間どれくらい必要なのか確かな話は分からないケースが多いのです。

ちなみに、税理士は一般的に売上や訪問回数で毎月の顧問料を決めています。そして、決算時には毎月の顧問料の3〜5倍程度を決算報酬として設定しているケースが多いです。

なお、毎月の顧問料が安く設定されていたとしても、決算時の報酬が異常に高かったり、試算表の作成や届出書の提出など事有る毎に報酬を請求して来る事務所も有ります。その結果、当初思っていたよりもかなり高額な報酬になってしまうというケースも有る様ですよ。

そこで、報酬について話をする際は、毎月の顧問料の他に何がかかるのかをしっかりと聞いておく事をオススメします。特に、記帳を自分でする場合と税理士にしてもらう場合とで、どれくらい顧問料が変わるのかは、必ず聞いておいた方が良いでしょう。

なお、「創業したてのお金がない時期は顧問料を安くしておくので、儲かったら報酬を上げてくださいね」という税理士もよくいます。この話は甘んじて受け入れて良いのですが、「儲かったら」というのがどれくらいの話なのか、「報酬を上げる」とはどれくらい上げるのか、という点については予め確認しておいた方が良いでしょう。

あらかじめしっかりと話し合っておかないと、何期か経った後でいきなり顧問報酬を何倍にも上げられた、というケースも有る様ですよ。

役員報酬のシミュレーションや資金調達支援をしてくれるかチェック!

これは、実際のサービス内容の話ですが、法人の場合は役員報酬の額が節税の観点からとても重要となります。

というのも、役員報酬は一度決めるとその事業年度が終わるまでは原則として変更する事が出来ないからですね。会社の利益を減らしたいからといって役員報酬を上げ過ぎてしまうと個人の税金や社会保険料が高くなりますし、役員報酬が少な過ぎると会社の法人税が高くなります。

そこで、良い税理士は年度ごとに役員報酬をいくらにするのが良いのかについて、シミュレーションして適正な金額を提案してくれるのです。

また、税理士は資金調達の専門家という訳ではないですが、仕事をする上でお客さんの資金調達に関わる事が多いです。

新規創業時や資金繰りに困った時は、金融機関からの資金調達が重要となりますが、資金調達が苦手な税理士だと放ったらかしにされかねません。

そこで、税理士と契約する前段階で、役員報酬のシミュレーションを毎期してくれるのか、現状で資金調達するとしたらどれくらい引っ張って来る(借りる)事が出来るのか、などについて聞いてみると良いでしょう。

回答次第では、別の税理士を探した方が良いかもしれません。

コラム:税理士に過度な期待は禁物!?

上述した様に、税理士は町医者の様なもので色々な悩みを解決してくれる頼もしい存在ですよね。

ただ、最近の流れとしては税理士に対する顧問料は低下の一途を辿っています。そんな中、税理士に対して従来通り何でもしてくれると期待している事業者が多いのも事実です。

確かに、ITの発達により会計・税務の業界でも業務の効率化は進んでいます。しかし、税理士もビジネスとして事務所運営をしているので、顧問料が安い場合はどうしてもその顧問先に対して割く時間を減らしていく必要が有ります。

ここに、事業者と税理士との間に期待ギャップが有るのです。

月1万円の顧問料で、決算申告はもちろん、何でも相談に乗ってもらって、記帳代行もしてもらって、助成金や資金調達などの情報も積極的に提案してもらって・・・となると、さすがに限界が有りますよね。

このギャップをいかに埋めていくかが、この業界の今後の課題かもしれないですね。

ちなみに、オックスフォード大学のマイケル.A.オズボーン氏が2014年に発表した論文の中で、10年後に消える職業の1つに「税務申告書代行者(いわゆる税理士)」が入っています。

日本でもfreeeやMF(マネーフォワード)を筆頭とするクラウド会計の登場により、自分で記帳をする事業主が増えて来ており、将来的には法人の確定申告書まで自分で簡単に作る事の出来る時代が来る事も考えられます。

日本と外国とでは税理士の立ち位置が全く同じという訳ではないので、一概にその通りとは言えないですが、うかうかしていられないという点では当たっていますね・・・。

まとめ

いかがでしたか?

税理士といっても人間なので色々なタイプの税理士がいますし、得意な分野も税理士によって異なります。

適当にネットで調べて決めたり、知り合いに紹介してもらった先生にパッと決めてしまうのではなく、自分で納得のいく税理士に出会えるまで探した方が良いですよ!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次