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FXや株の税金を滞納したり申告しなかった場合の加算税等のまとめ

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個人の方がFXや株の取引で利益(所得)を得た場合、確定申告をする必要が有ります。

参考:給与所得者の場合、FXで得た利益が年間20万円以下であれば所得税の確定申告をする必要は有りません(関連記事:FXの利益が20万円以下なら確定申告は不要。住民税の申告も不要?)。

株式取引の場合は、特定口座(源泉有り)を指定していれば特に申告が漏れたり納税が遅れたりという事は発生しないのですが、一般口座やFXの場合は自分で確定申告をしなければならないので、申告・納税期限に遅れない様に注意が必要です。

万が一、確定申告を忘れたり税金の納付が遅れたりすると、どの様なペナルティが科されるのでしょうか?

この記事では、税金を滞納したり、所得を申告しなかった場合のペナルティーについて紹介していきます。

平成25年から平成49年までの間、所得税とは別に復興特別所得税が課されますが、ここでは便宜上考慮していません。

目次

ペナルティーの種類と加算割合等の概要

まずは大枠を掴むために下記の表を見て下さい。

内容割合
無申告加算税15%
但し、修正申告のタイミングや金額、過去の加算税の状況によって0%〜30%
過少申告加算税10%
但し、修正申告のタイミングや金額によって0%〜15%
重加算税35%(期限後申告の場合は40%)
但し、過去の加算税の状況によっては45%or50%
延滞税年度によって違うが、令和5年分は年2.4%(納期限から2月経過以降は8.7%)

税金を滞納したり、意図的に所得を申告しなかった場合、上表のようなペナルティーが課されます。

無申告加算税やら過少申告加算税やら似たような難しい単語が並んでいますね。条件によって加算割合等も変わってきますので、以下ではそれぞれもう少し噛み砕いて見ていきます。

期限までに申告をしなかった場合は無申告加算税!

確定申告は毎年、2月16日から3月15日の間にしなければなりません所得税法第120条第1項)

参考:還付の場合は正月明けから申告可能です。また、納税の場合でも2月16日以前に税務署に提出すると問題無く受理されます。この場合は、とりあえず税務署が預かっておいて2月16日に正式に受理した、という扱いになる様です。(所得税法基本通達120−2)

申告期限内に確定申告をすることを「期限内申告」といい、申告期限を1日でも過ぎてから確定申告をする事を「期限後申告」と言います。

期限後申告をした場合、若しくは、税務署からの決定が有った場合は、納税すべき金額の15%が無申告加算税として科されます(国税通則法第66条第1項)

なお、納付すべき金額(本税)が50万円を超える場合、50万円を超えた部分については20%となるので、注意が必要ですね(国税通則法第66条第2項)

計算例

①納付すべき所得税額が20万円のケース
無申告加算税の額は3万円(=20万円×15%)

②納付すべき所得税額が70万円のケース
無申告加算税の額は11万5千円{=50万円×15%+(70万円—50万円)×20%}

申告した税額が本来払うべき税額に足りていなかった場合は過少申告加算税!

確定申告は期限内にしたものの、申告した税額が本来申告すべき税額よりも少なかった場合、本来申告すべき税額と当初申告した税額との差額に対して、10%の過少申告加算税が科されます(国税通則法第65条第1項)。

申告をしたものの後々間違いに気付いて自ら修正申告書を提出するケースも有りますが、一般的には税務調査が入り、申告の間違いや経費の否認などによって追加の税額が発生し、修正申告をするケースが多いですね。

参考:税務調査が入り間違いを指摘されたものの、修正申告せずに放置して税務署から更正処分が下された場合も同様です。

なお、納付すべき金額(本税)が50万円を超える場合、50万円を超えた部分については15%となります(国税通則法第66条第2項)

計算例

①当初申告した所得税額が10万円、本来納付すべき所得税額が50万円のケース
過小申告加算税の額は4万円{=(50万円—10万円)×10%)

②当初申告した所得税額が30万円、本来納付すべき所得税額が90万円のケース
過小申告加算税の額は6万5千円{=50万円×10%+(90万円—30万円-50万円)×15%}

ちなみに、期限後申告をした後でその年分の申告について税務調査が入り、修正申告をする事になった場合も過少申告加算税は発生しますよ。

なお、平成28年度の税制改正により、平成29年1月1以降に法定申告期限が到来する所得税について、過去5年以内に無申告加算税又は重加算税を科された事の有る方が、再度過少申告加算税又は重加算税を科される事になった場合、その割合はさらに10%増えます。

悪質な脱税と認定された場合は重加算税!

FXや株の利益をわざと申告しなかったり、実際の収入より小さく(若しくは実際の経費よりも大きく)申告したりして、不当に税金を免れた場合、当初申告(期限内申告)した税額と本来納付すべき税額の差額に対して、過少申告加算税の代わりに35%の重加算税が科されます(国税通則法第68条第1項)

一方で、当初の申告が期限後申告や無申告だった場合は、40%の重加算税となります。

これらは、いわゆる脱税行為をした際に与えられる罰ですね。過少申告加算税と比べると一気に納付額が増える事になりますよ。

計算例

①当初期限内申告した税額が20万円で、本来納付すべき税額が100万円であり、重加算税の対象となった場合
重加算税の金額は21万円{=(80万円—20万円)×35%}

②上の例で、当初申告が期限後申告だった場合
重加算税の金額は24万円{=(80万円—20万円)×40%}

なお、上述した過少申告加算税と同様に、平成29年1月1日以降に法定納期限が到来する所得税について、過去5年以内に無申告加算税又は重加算税を科された事の有る方が、再度過少申告加算税又は重加算税を科される事になった場合、その割合はさらに10%増えます。

ちなみに、たまに「ミスで収入が漏れていただけなのに重加算税が取られた」という話を聞く事が有りますが、これは本来はあってはいけない事です。

重加算税が科せられるのは、条文に有る様に「事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき」です。

つまり、単なるミスや申告する事を忘れていた、という理由だけでは本来重加算税が科される事は無いのです。それでも重加算税が取られるというのは、納税者の方が弱い立場に有るというのと、納税者の加算税に対する知識が不足しているからですかね・・・。

従って、不当に重加算税を科されたと思う場合は、税務調査の担当者にしっかりと重加算税のどの要件に該当したのかを確認した方が良いでしょう。

但し、一度だけうっかり確定申告を忘れる事は有るかもしれないですが、何年もの間うっかり忘れ続ける事は通常有り得ないですよね。そう考えると、何年もFXや株取引による所得を申告せずに放置していた場合、それだけで悪質な脱税と認定される可能性は有ります。

通常、税務調査は過去3年分が対象ですが、申告漏れ等が悪質だと判断された場合は、最大で過去7年分に遡って追徴となる可能性が有ります(国税通則法第70条第4項)

税金の納付が遅れた場合は延滞税!

確定申告を期限内にしたのに、資金繰りの関係で納付期限(3月15日)までに所得税を全額納付出来なかった場合、遅れた税額や期間に応じて延滞税が科されます(国税通則法第60条第1項)

参考:期限後申告の場合や、税務調査が入って修正申告をしたり更正・決定処分を受けた場合にも延滞税は発生します。

なお、延納や物納、申告書の提出期限の延長があった場合は、延滞税の代わりに利子税を納付する事になります。これは延滞という名前が付いていますが、罰則的な意味合いは有りません。

参考:所得税を延納した場合、事業所得・不動産所得・山林所得の金額が有る場合は、利子税のうち一定の金額を必要経費に算入する事が出来ます(参照元:【確定申告書等作成コーナー 令和5年分よくある質問】-租税公課

延滞税の割合

「税金を延滞すると闇金ばりに延滞税を取られる!」という様な話を聞いた事が有るかもしれませんね。しかし、安心して下さい。確かに延滞税の割合は高いので一理有りますが、闇金ほどという訳では有りません。

延滞税の割合は、原則として以下の通りとなっています。

  • 納期限の翌日から2月を経過する日まで⇒年7.3%
  • 納期限の翌日から2月を経過した日以降⇒年14.6%

参考:ここでいう納期限とは、「期限内に申告された場合には法定納期限」「期限後申告又は修正申告の場合には申告書を提出した日」「更正・決定の場合には更正通知書を発した日から1月後の日」を指しています。

確かにこれだけを見ると、延滞税の割合は非常に高く感じますよね。

しかし、実際には原則の割合が適用される訳ではなく、

  • ① 2月を経過する日までの分は年「7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」の いずれか低い割合
  • ② 2月を経過した日以降の分は年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合

が適用される事になります。

各年の前々年の9月から前年の8月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。

延滞税の計算方法|国税庁

これを見ても実際の割合が良く分からないと思うので、実際に適用される延滞税の割合を一覧で見てみましょう。

まず、納期限の翌日から2月を経過する日までの割合は以下の通り。

期間割合
令和3年1月1日〜令和3年12月31日年2.5%
令和4年1月1日〜令和4年12月31日年2.4%
令和5年1月1日〜令和5年12月31日年2.4%
令和6年1月1日〜令和6年12月31日年2.4%

次に、納期限の翌日から2月を経過した日以降の割合は以下の通り。

期間割合
令和3年1月1日〜令和3年12月31日年8.8%
令和4年1月1日〜令和4年12月31日年8.7%
令和5年1月1日〜令和5年12月31日年8.7%
令和6年1月1日〜令和6年12月31日年8.7%

原則の割合から比べると、実際に適用される割合は大分低い事が分かりますね。それでも、令和6年で年8.7%なので非常に高い割合ですけどね・・・。納付期限に間に合わなかったとしても、出来るだけ早く納付を終えたい所です。

なお、延滞税は納付すべき税額(本税)全てを納付し終わるまで、残っている税額に応じて発生し続けます(国税通則法第62条)。但し、上述の加算税については延滞税は科されません。従って、追加で税金の納付が必要になった場合は、まず何としても本税部分を先に納付し終える様にしましょうね。

ちなみに、脱税により延滞税が発生する場合を除き、以下の場合は「一定の期間(基本的に期限から1年間)延滞税の計算に含めない」という特例が有ります(国税通則法第61条)

  • 期限内申告書を提出し、法定申告期限後1年を経過してから修正申告又は更正があったとき
  • 期限後申告書を提出し、その申告書提出後1年を経過してから修正申告又は更正があったとき
  • 確定申告書を提出した後で減額更正され、その後さらに修正申告又は更正があったとき ※1

※1:平成29年1月1日以降に法定納期限が到来する国税に適用されます。

延滞税の計算方法

延滞税の金額は、以下の計算式を使って算出されます。

①(納期限の翌日から2月を経過する日までの期間)
{納付すべき本税の額 ×延滞税の割合×期間(日数)}÷365日

②(納期限の翌日から2月を経過した日以降の期間)
{納付すべき本税の額 ×延滞税の割合×期間(日数)}÷365日

:10,000円未満の端数は切捨て

①+②=延滞税の額(100円未満の端数は切捨て)

試しに、令和4年分の所得税を期限内申告(税額は150万円)したものの納付が出来ず、令和5年11月末に一括で納付した場合の延滞税を計算してみましょう。

計算例

①=150万円×2.4%×61日÷365日=6,016円⇒6,010円
②=150万円×8.7%×199日÷365日=71,149円⇒71,140円
①+②=77,150円⇒77,100円

日数を数えるのが少し面倒ですね。そんな方の為に、国税庁のホームページで納付年月日や税額を入力すれば延滞税を計算してくれるページが用意されているので、興味の有る方は使ってみて下さい。リンク先は下記より。

延滞税の計算方法|国税庁

税務調査で指摘される前に自ら過ちを認めて修正申告をした場合のペナルティー

税務署から「税務調査に入ります」という連絡が有ると、ドキッとしますよね。ちゃんと期限内に申告・納付をしていても「何か悪い事をしたのかな?」と思ってしまうでしょう.

そこで、税務調査が実際に入る前に過去の申告書を見直してみたところ、間違いに気付いたとしましょう。あなたならどうしますか?そのまま放っておいて、税務調査で指摘されるのを待ちますか?それとも、間違いだと分かっているのだから税務調査が入るまでに自分で修正申告を提出してしまいますか?

「そんなのどっちでも同じでは?」と思うかもしれないですが、実際には結構違います。というのも、過少申告加算税や無申告加算税については、税務調査による修正申告を予期して修正申告をしたのかどうかによって、科される割合が異なるのです。

間違いに気付いた時点で修正申告をした方が被害を最小限に抑える事ができます。

具体的には、以下の通りとなります。なお、平成28年度の税制改正でこの部分は厳しくなっているので、改正前と改正後の取扱を併記しますね。

なお、以下の表で“更生の予知”という単語が出てきます。詳しく説明すると長くなってしまうので割愛しますが、ココでは「税務調査での指摘」と考えてもらうとスムーズです。

まずは、過少申告加算税(期限内申告をしたけど、後に修正申告や更正が行われた場合)。

修正申告等のタイミング改正前改正後
調査通知前0%0%
調査通知後、税務調査による更正の予知まで0%5%
10%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い方の額を超える部分)
更正の予知後10%
15%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い方の額を超える部分)
10%
15%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い方の額を超える部分)

次に、無申告加算税(期限後申告や決定が有った場合、又は、期限後申告をした後で修正申告や更正が有った場合)。

タイミング改正前改正後
法定申告期限後1月以内で一定の場合0%0%
調査通知前5%5%
調査通知後、税務調査による更正の予知まで5%10%
15%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い方の額を超える部分)
更正の予知後15%
20%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い方の額を超える部分)
15%
20%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い方の額を超える部分)

表を見てみると、従来過少申告加算税については、税務調査が入ったとしても間違いを指摘されるまでの間に修正申告をしてしまえばかからない様になっていました。しかし、改正後は、調査の通知が有った後の修正申告は、間違いを指摘される前だっとしても過少申告加算税が科される様になっていますね。

一方の無申告加算税については、従来から法定申告期限から1ヶ月以上経過してから自ら修正申告をした場合、5%の割合で科されていました。改正後も、無申告加算税が科されるタイミングは同じですが、調査の通知が有ってから自ら修正申告をした場合の無申告加算税の割合が増えています。

税金のイメージ

以上の様に、過少申告加算税や無申告加算税が科されるタイミングは前倒しになってきていますが、それでも申告後に間違いに気付いた場合は、自らすすんで修正申告をした方が良いでしょう。

ちなみに、税務調査の連絡が有ってから実際に調査が始まるまでの間に修正申告をしたからといって、税務調査が無くなる訳では有りません。あくまでも余計な罰金を減らすためのものと考えておきましょうね。

住民税にも同様のペナルティが有る!

ここまで所得税に関するペナルティについて紹介して来ましたが、所得税に関してペナルティを科される場合、住民税についてもペナルティが科されます。

科されるペナルティの内容や率は所得税と同じですが、名前が以下のように異なります。

所得税のペナルティ住民税のペナルティ
無申告加算税申告加算
過少申告加算税過小申告加算
重加算税重加算
延滞税延滞

ちなみに、住民税は所得税の確定申告や修正申告が終わった後で市町村が税額を計算するので、所得税と納付のタイミングが異なります。所得税を納付して終わりではないので、住民税分のお金をしっかりと確保しておきましょうね。

なお、住民税のペナルティは所得税同様、納付しても必要経費にはなりません。

まとめ〜ペナルティの割合をまとめた表有り〜

いかがでしたか?

FXや株の利益を期限内に正しく申告・納税しておかないと、後々色々な加算税等が発生する事が分かりましたね。正しい税額を期限内に申告・納税する様に心がけましょうね。

最後に、加算税の種類や割合を一覧にした表を再掲しておきます。

内容割合
無申告加算税15%
但し、修正申告のタイミングや金額、過去の加算税の状況によって0%〜30%
過少申告加算税10%
但し、修正申告のタイミングや金額によって0%〜15%
重加算税35%(期限後申告の場合は40%)
但し、過去の加算税の状況によっては45%or50%
延滞税年度によって違うが、令和5年分は年2.4%(納期限から2月経過以降は8.7%)

補足:加算税には他にも「不納付加算税(国税通則法第67条)」が有りますが、これは源泉所得税の納付を期限内にしなかった場合に科されるもので、FXや株をする個人の方には関係ないものなので、この記事では省略しました。

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