MENU

サラリーマンがFXで法人化を考える際の留意点

当ページのリンクには広告が含まれています。
法人設立のポイント

「副業のFXでの利益が増えてきたので、近い将来会社を辞めてFXに専念したいけど、辞める前にFX法人を作ってもいい?」
「FX法人をサラリーマンが作ると勤務先にバレる?」

こんな悩みを抱えていませんか?

「今まで副業としてFXをしてきたけど、結構利益が出てきたのでFX法人にしよう」と考える方は結構いると思います。

しかし、そもそもサラリーマンが会社(FX法人)を作ってもいいのでしょうか?それに、もし作ったら勤務先にバレて怒られたりしなのでしょうか?

気になりますよね。

そこで、ここではサラリーマンがFX法人を作る際の留意点について紹介していきますね。

サラリーマンが、副業規定に違反してまでFX法人を設立する事を推奨している訳ではありません。あくまでも方法論としてお読みください。

目次

サラリーマンでもFX法人を作る事は出来る?

そもそもサラリーマンは勤務先から雇われているのに、自分で会社を作って社長になってもいいのでしょうか?つまりは「兼業してもいいのか?」という事ですね。

憲法第22条第1項では、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」という職業選択の自由が保障されているので、問題なさそうにも感じますよね。しかし、そこに立ちはだかる大きな壁が就業規則です。

実際のところ、就業規則で兼業を禁止している会社は多いです。経団連が公表した「2020年労働時間等実態調査」によると、副業を認めている企業は全体の22%に過ぎず、実に8割弱の会社が兼業を禁止しています。

兼業がバレると最悪の場合、クビになるケースも有る様です(いきなりクビになる訳ではなく、何回か副業を辞める様に注意されても辞めなかった場合に解雇になる可能性があります)。

「就業規則に副業禁止と書いているからといって、それが法律に優先するか?」と言うと、そこはグレーなところですが現実的に会社に雇ってもらっている訳なので、従わざるを得ないというケースがほとんどでしょうね・・・。

なので、まずは勤務先の就業規則をチェックする事から始めましょう。そこで、兼業がOKなのであれば、特に問題なくFX法人を作る事が出来ますよ。

なお、ここ数年は日本で副業を解禁する流れが出てきています。ロート製薬が2016年2月に副業制度を導入したり、サイボウズの社長が「副業禁止を禁止!」といった事などが、記憶に新しいですよね。

副業先の業務内容にもよるかもしれないですが、基本的には今後も副業を認める流れは続くでしょうね。

公務員の場合

では、サラリーマンよりも規則が厳しそうな公務員の場合はどうでしょうか。

サラリーマンは就業規則により副業が基本的に禁止とされていますが、国家公務員と地方公務員は法律によって副業が禁止されています国家公務員法第103条・104条、地方公務員法第38条)

なぜ、そんなに厳しくするかというと、法律で以下の3原則が定められているからです(国家公務員法第99〜101条、地方公務員法第33条〜35条)。

  • 信用失墜行為の禁止
  • 守秘義務
  • 職務専念の義務

至極簡単にいうと「ちゃんと仕事に専念しなさい!」という事ですね。
当然といえば当然の事ですが、これが法律によって明文化されているという訳です。

参考:公務員でも許可を得れば副業は可能ですが、そのハードルはとても高く基本的に許可が出ない様ですね。

なお、基本的に副業が禁止の公務員ですが、FXや株の取引については上記の3原則に反しない限りはしても問題無いようです(取引に没頭し過ぎて業務が疎かになる様な場合は×)。

ただし、FXは認められていても会社の役員等になる事は認められていないので、FX法人を作って代表取締役になったり給料をもらう事は出来ないでしょうね。

現在、政府は副業解禁の流れを先導するために公務員の副業禁止規定の廃止も考えているようです。が、今のところはまだ分かりません。

【ケース別】サラリーマンがFX法人を作る際の留意点

サラリーマンがFX法人を作ろうと考えるという事は、恐らく「会社を作ってそこから役員報酬をもらう事で法人と個人とで所得の分散しようと考えている」という事ですよね。

確かに、所得の分散は節税の方法としては有効です。しかし、年末調整は1社でしか受ける事が出来ないので、2箇所から給料をもらうと所得税の確定申告をしなければならなくなります(参照元:確定申告が必要な方|国税庁

確定申告をすると所得が大きくなるので、翌年度の住民税がアップしますよね。サラリーマンの住民税は、給料から天引き(特別徴収 )されるのですが、本来勤務先の給料で発生するであろう住民税の額よりも多くなるので、勤務先に他の収入源の存在がバレてしまいます。

中には会社で特別徴収をせずに、従業員に自ら納付させている(普通徴収)ケースもありますが、平成29年頃から自治体毎に特別徴収の徹底を進めており、ゆくゆくは例外を除き特別徴収となるでしょう。

参考:「FX法人の給与分のみ普通徴収にしてください」、と自治体にお願いをする事で融通を効かせてくれるケースもある様です。一度トライしてみる価値はありますね。

従って、勤務先で副業が禁止されている場合や、FX法人の存在を知られたくない場合は法人から役員報酬をもらうのはやめた方がいいでしょうね。

では、どうすればいいのか?以下でケース別に見てみましょう。

近い将来、今の会社を辞める予定が有る場合

勤務先を近い将来(1年以内程度)に辞めて、FX法人で頑張って行くと決めている方なのであれば、FX法人を先に作っておいても問題になるケースは少ないでしょう。

そもそも、法人を設立して代表取締役になったとしても、それだけで他の方にバレるという事は通常はありません。登記簿は誰でもお金を払えば見る事が出来るし、法人番号公表サイトで法人の住所等は簡単に見れますが、兼業しているという疑念が無い限り普通は調べないですよね。

参考:こういったケースで勤務先にバレるのは、「同僚が上司にチクった」「飲み会の席でうっかり口を滑らした」などがほとんどでしょう。

それに、役員報酬を払っても、勤務先から住民税の特別徴収に反映されるのは翌年6月からなので、バレる可能性も少ないです。従って、1年以内を目処に勤務先を辞めると決まっているのあれば、前もってFX法人を設立してもそれほど問題無いでしょうね。

ただし、そもそも近い将来辞めると決まっているのであれば、それまで待つのがベストでしょうけどね・・・。

社長を妻や家族に出来る場合

今の会社を当面辞める予定がなく、社長を自分以外の家族に出来る場合は、その方に社長になってもらうのがいいでしょう。

ただし、社長になってもらう方が同じサラリーマンだと意味がないので、妻(専業主婦)などになってもらうのがベストですね。

その上で、妻に役員報酬を払えば、勤務先に副収入がバレるリスクはなくなるし、FX法人から給料も取れるので一件落着・・・といいたいところですがまだ留意点はあります。

:妻に役員報酬を払う事自体は問題ないですが、妻がFX取引などを含む会社の業務を全くしていない、というのはダメですよ。

それは、「役員報酬をいくらにするか?」という点ですね。もともと専業主婦だった方が社長になって役員報酬をもらう場合、旦那の扶養から外れてしまう可能性があるので注意が必要です。扶養関係の具体的な金額について以下で見てみましょう。

配偶者控除および配偶者特別控除については、平成29年度の税制改正により大きく内容が変わっています。詳細は国税庁のHPで確認してください。ここでは、世帯主の年収が900万円以下のケースが前提です。

  • 年収103万円以下は配偶者控除(38万円)
  • 年収103万円超150万円以下は配偶者特別控除(38万円)
  • 年収150万円超201万6千円以下は配偶者特別控除(3〜36万円)
  • 年収201万6千円超は控除なし

所得税上の控除を旦那が受けようと思ったら、役員報酬は年間201万円6千円以下にしておかなければならない、という事ですね。

なお、社会保険については法人の代表者が役員報酬をもらう場合は、必ず加入しなければなりません。従って、1円でも報酬をもらうのであれば旦那の扶養から外れる事になります。結構重要な点なので、忘れずに!

参考:「主婦が社長になっても、役員報酬130万円以下であれば旦那の扶養に入れる」、と言っている方も中にはいる様ですが、それは間違いです。社長が報酬をもらっているのに社会保険に加入していないと、後に年金事務所から怒られる事になります。

自分以外に社長になれる人がいない場合

特に会社を辞める予定もないし、自分以外に社長になってくれる様な信頼出来る方がいない場合はどうしましょう。

考えられるのは、FX法人を作るけど役員報酬は取らないという方法ですね。

金欠の女性

会社を作ったからといって絶対に役員報酬をもらわないといけない、という訳ではありません。利益がなければ当然役員報酬は払えないですからね・・・。

そこで、役員報酬を払わないでFX法人を運営するというのもアリですね。役員報酬を取らなければ個人の所得が増えることも無いので、勤務先にもバレずに済みます。

役員報酬を支払わないとなると、法人に利益がたくさん残ってしまう可能性があるので、業務によって生じた経費はきちんと計上する様にしましょうね。なお、法人の税率は所得が400万円までであれば約21%(800万円までは約23%)なので、そこまで神経質にならずに税金を払ってもいいのかな、と思いますけどね。

:個人事業主が法人成りをする場合でも同じ事が言えるのですが、法人にしたからといって何でもかんでも経費に出来る訳では有りません。インターネット上では、「定款の事業目的にFXと書いておけば何でも経費に出来る!」という事を書いている方もいる様ですが、経費になるかどうかというのは、形式よりも実態が重要です。事業に関係ないものは損金算入出来ないので注意しましょう。

FX法人の本店所在地はどこにすればいい?

一般的に、サラリーマンが会社を作る際の本店所在地として考えられるのは、以下の3つくらいでしょう。

  • 自宅(マンション含む)
  • 実家
  • レンタルオフィス

基本的には自宅を本店所在地にしておけば問題ないです。しかし、中には自宅はちょっと・・・という方もいるでしょう。そういう方は、親に頼んで実家を本店所在地とするのもいいですし、お金はかかりますがレンタルオフィスを本店所在地にするのもいいですね。

会社の本店所在地は登記事項なので、変更するには登記費用が必要です。一度決めたら頻繁に移すことがないようにしたいところですね。

なお、マンションやアパートなどの賃貸物件に住んでいる場合は、管理規約で会社の本店所在地を置く事が禁止されているケースも有るので、注意が必要です。

小幡兼志公認会計士事務所
会社の本店所在地の決め方・ポイント・注意すべき事まとめ | 小幡兼志公認会計士事務所 会社を設立する際に必ず決めておかなければならないものの1つに、「本店所在地」が有ります。本店所在地は、読んで字の如く「本店の所在地」なのですが、特段の制限が無い...

法人の確定申告は自分でするのは難しいので、税理士への報酬が発生!

個人の確定申告であれば、それほど難しくないので自分ですることも出来るでしょう。しかし、法人の確定申告書は全く知識が無いところから作るのは非常に難しいです。作り方を学ぶのに時間を割くくらいなら、潔く税理士に依頼した方がいいでしょう。

という事で、FX法人を作った場合は税理士に対する報酬が発生する事を忘れずに。

参考にどうぞ
FX法人化後は税理士顧問を依頼すべき?メリット・デメリットや費用相場 FXトレーダーの中には法人成りを考える方も多いでしょう。法人の確定申告は一般的に自分でするのが難しいので「税理士を付けるべき」と言われていますが、FX法人の場合もそうなのでしょうか?ここでは、FX法人を作った場合に税理士に顧問を依頼するメリットやデメリット

まとめ

サラリーマンがFXで法人化をする際の留意点について見てきました。簡単にまとめると以下の様な感じですね。

  • サラリーマンがFX法人を作る場合は、兼業禁止になっていないか就業規則をチェック!
  • 公務員は個人でFXをする事自体は問題ないが、FX法人の役員等になる事は出来ない!
  • どうしても会社にバレずにFX法人を作りたい場合は、妻(専業主婦)等に代わりに代表者になってもらう!
  • 本店所在地は自宅でOK(マンション等の場合は規約に注意)
  • 法人化後は税理士への報酬が発生する

守るべきところはしっかりと守って、うまくFXで利益が出せるといいですね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次