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外貨MMFの税金のすべて!改正で無税メリットは終了

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外貨MMFで得た利益が非課税だった良き時代は終わりました。

いきなり残念な話から入ってしまいましたが、外貨MMFは税制をよく理解している方にとっては、利益を非課税に出来る大きなメリットのある投資商品でした。

しかし、2015年末を境にそのメリットは無くなってしまったのです。現時点では敢えて外貨MMFを保有するメリットはあまり無いでしょう。

では、今から外貨MMFに投資するとどの様な税金がかかるのでしょうか?また、2015年末まではどの様な税金の取扱いがされていたのでしょうか?以下で見ていきましょう。

目次

外貨MMFとは?税制改正後は申告分離課税!⇒特定口座であれば申告不要

外貨MMFとは、MMF(マネー・マネジメント・ファンド)の外貨版です。

それだけでは少し不親切な説明なので、もう少し簡単に説明すると・・・

ファンドという名前が付いている事から分かると思いますが、MMFは投資信託の一種ですね。そして、MMFは公社債投資信託()なので、国債や国内外の公社債、コマーシャルペーパー(CP)、譲渡性預金(CD)など安全性の高いものを投資対象としています。

:投資対象に株式を一切組み入れない投資信託。少しでも株式が組み入れられるものは「株式投資信託」。

つまり、要約すると「外貨建て(米ドルや豪ドルなど)で安全性の高い国債や公社債等に投資する投資信託」という事です。

外貨MMFに投資して得られる利益としては、以下の2種類が有ります。

  • ①収益分配金
  • ②売却益(為替差益)

外貨MMFでは毎月決算を行います。

そして、発生した利益から運用報酬を控除したものが収益分配金として支払われます(実際には全額再投資される)。分配金は再投資をする際に利子所得として扱われ、20.315%が課税(申告分離)されます。

参考:20.315%の内訳は、所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%。

No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)|国税庁

また、外貨MMFを解約(売却)した場合に為替の影響により利益(為替差益)が発生する事が有りますが、こちらに関しては株式等の譲渡所得として利益の20.315%が課税(申告分離)されます。

No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)|国税庁

単純ですが表にしておきますね。

項目税金の取扱
収益分配金20.315%の申告分離課税
(源泉徴収有り)
売却益(為替差益)20.315%の申告分離課税
(源泉徴収は口座の種類次第)

ごちゃごちゃ書いていますが、源泉徴収有りの特定口座で運用する場合には原則として確定申告不要です。

解約(売却)損が出た場合は、他の国内株式や投資信託の譲渡益と損益通算が出来ます。また、確定申告をする事で翌年以降3年に渡って損失を繰り越す事も可能です。⇒損益通算や損失繰越をする場合は原則として確定申告が必要になります。

参考:2016年に行われた税制改正の前は、外貨MMFの税金はどうなっていた?

外貨MMFについて、現行の税制では「収益分配金は利子所得、売却益や為替差益は譲渡所得」となっている事を紹介しましたが、2015年以前の扱いは大きく異なっていました。

参考:平成25年度(2013年度)税制改正によるものですが、適用開始が2016年1月1日からと少しタイムラグが有ります(この時の税制改正は、「金融所得課税の一体化」や「一体課税」などと呼ばれています)。

何が違うかというと、収益分配金は利子所得として源泉分離課税され、売却益(為替差益)が非課税だったのです。また、譲渡損が出たとしても株式の譲渡益等との損益通算も出来ませんでした。

売却益が非課税というのはメリットとしてかなり大きいですね。しかし、なぜそもそも外貨MMFの売却益が非課税だったのでしょうか?

この点については、公社債投資信託が株ではなく債券(利付債)の仲間だと考えられていた事が原因といえるでしょう。

利付債の場合、「クーポン以外での収益が発生しない代わりに損失も発生しない」という考えのもと、利益が出たとしても課税はしない事になっていました(その代わり損をしても損益通算も出来ない)。

また、外貨が変動した事による債券や株式の損益は、債券や株式の元本の損益に組み入れられるという前提が有るので、うまく使えば外貨建ての金融商品から発生する為替差益を非課税とする事が出来たのです。

その結果、外貨MMFから発生する売却益(為替差益)は非課税だった、という訳ですね

参考までに、2015年末までの外貨MMFの税制についても表にしておきましょう。

項目税金の取扱
収益分配金20.315%の源泉分離課税
売却益(為替差益)非課税

今と比べると以前の外貨MMFの税制はとても優遇されたものだった事が分かりますね。このメリットがもう受ける事が出来ないのはとても残念です。

参考)2015年末日時点で特定口座を開設している場合は、自動的に特定口座へ移管!

上述の様に、2016年1月1日以降の外貨MMFの税金は申告分離課税ですが、売却益に係る税金の払い方は証券会社の口座の種類によって異なります。

参考:収益分配金については、口座の種類に関わらず源泉徴収されます。

一般口座及び特定口座(源泉徴収無し)の場合は、売却益に対する源泉徴収がされないので自分で確定申告をしなければなりません。一方で、特定口座(源泉徴収有り)の場合は、基本的に確定申告をする必要は有りません。

なお、2015年末時点で外貨MMFのある証券口座に特定口座(源泉徴収有り)を開設している方は、自動的に外貨MMFが特定口座へ移管されるので源泉徴収の対象となり、確定申告も原則不要となります。

一方で、2015年末時点で特定口座を持っていない方は、外貨MMFは一般口座での取扱となり、源泉徴収を受ける事は出来ないですし確定申告も自分でしなければなりません。

参考:2015年末時点で特定口座を開設していない方は、2016年以降に特定口座を開設しても、2015年末以前に取得した外貨MMFを特定口座に移管する事は出来ません(証券会社によって取扱が異なります)。

これから新たに外貨MMFに投資しようと考えている方も、特定口座(源泉徴収有り)で運用するのであれば確定申告は不要ですが、一般口座や特定口座(源泉徴収無し)で運用する場合は確定申告をしなければならない点を忘れずに。

外貨の預貯金を払い出して外貨MMFに投資した場合の為替差損益はどうなる?

外貨預金をしていて、それを一旦払い出した後で全額外貨MMFに投資する様な場合、外貨MMFに投資した時点で外貨預金の為替差損益は所得として計上することになるのでしょうか?

答えは、Yesです。

少し難しい説明となりますが、理由を見てみましょう。興味の無い方は最後の計算例だけ見ていただければOKです。

外貨建取引の所得については、所得税法第57条の3第1項で以下の様に定められています。

居住者が外貨建取引を行った場合には、当該外貨建取引の金額の円換算額は当該外貨建取引を行つた時における外国為替の売買相場により換算した金額として、その者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする。

外貨預金で外貨MMFに投資した場合、それまで単なる含み損益だった外貨預金の為替差損益が、外貨建取引によって所得税法第36条のいう「収入すべき金額」として実現したものと考えられるので、預金時のレートと外貨MMFに投資したときのレートの差額を、為替差損益として所得計算に組み込む必要が有るのです。

例えば、1ドル100円のときに1万ドルを預け入れて、1ドル108円のときに払い出してそのまま外貨MMFに投資したケースを見てみましょう(預金利子は無視)。

この場合、(108円—100円)×15万ドル=120万円が外貨預金に係る為替差益となり、雑所得(総合課税)として確定申告をしなければなりません。

外貨MMFはNISAの対象?

2024年5月時点では外貨MMFはNISAの投資対象となっていません。なぜなら外貨建MMFは枠組みとして公社債投資信託であり、NISA口座が対象とする公募株式投資信託とは内容が違うからです。

まぁ、外貨MMFは利回りがそれほど良くないので、NISAで投資が出来る様になったとしても投資対象としてはあまり魅力が無いでしょうけどね・・・。

まとめ

現在と過去の外貨MMFについて課税上の取扱を見て来ましたが、簡単にまとめると以下の様な感じです。

  • 2016年1月1日以降は、外貨MMFで発生した収益分配金は利子所得、売却した際の利益は譲渡所得(いずれも申告分離課税で20.315%の税金)
  • 外貨MMFで損失が出た場合、損益通算や繰越控除が可能
  • 外貨預金を払い出して外貨MMFに投資した場合、投資の時点で為替損益を認識しなければならない
  • 外貨MMFは現状NISAの対象外だが、将来的には対象となるかも。

参考に、2015年12月31日以前と2016年1月1日以降との税制の違いを表にしておきますね。

項目2015年12月31日まで2016年1月1日以降
分配金20.315%の源泉分離課税
(源泉徴収有り)
20.315%の申告分離課税
(源泉徴収有り)
売却益
(為替差益)
非課税20.315%の申告分離課税
(源泉徴収は口座の種類次第)

非課税のメリットを享受出来なくなってしまった以上、あまり外貨MMFに魅力は無いですが投資を考えている方は一通り理解しておく様にしましょうね。

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