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事業専従者とは?青色でも白色でも専従者の要件はほぼ同じ。

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事業専従者とは

青色申告には「専従者給与」、白色申告には「専従者控除」という制度があります。

いずれも、本来必要経費にすることが出来ない家族への給与を必要経費にすることが出来る制度ですが、特例的なものなので制度の利用にあたっては条件を満たす必要があります(*)。

* 厳密には専従者給与は必要経費とされますが、専従者控除は必要経費とみなされるものに該当します。

いくつかの条件がありますが、いずれの場合でも求められるのが専従者給与・専従者控除の対象になる親族が「事業専従者であること」という要件です。

「事業専従者であること」とは、言葉の通り、「専ら(もっぱら)その事業に従事していること」という意味なのですが、実は要件が色々と決められています。

そこで今回の記事では「事業専従者と認められるための条件」について深堀りしていきますよ。

ちなみに事業専従者の呼び分けは以下のように行います。

  • 青色事業専従者・・・青色申告をしている事業主のもとで働く事業専従者
  • 白色事業専従者・・・白色申告をしている事業主のもとで働く事業専従者

本文では使い分けることがあるので、一応知っておいて下さい。

なお、専従者給与と専従者控除、それぞれについて詳しく知りたい方は下記記事もご参照くださいね!
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目次

事業専従者とは?3つの要件をまず確認!

働く配偶者

税法における事業専従者とは、以下の3つの要件をすべて満たす親族のことを言います(参考:所得税法57条及び所得税法施行令165条)

事業専従者に該当するかどうかの3要件
  • ①事業主と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
  • ②その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
  • ③その年を通じて6月を超える期間、その事業主の営む事業に専ら従事していること。注⇒青色事業専従者の場合だけ、次の(イ)(ロ)いずれかに該当する場合は従事期間が従事可能期間の1/2を超えていればOK
    • イ)年の途中における開廃業により、その事業が年中を通じて営まれなかった場合
    • ロ)病気による入院・死亡、転職・結婚等の理由によりその年中を通じて生計同一親族としてその事業に従事することができなかった場合

③の要件だけ、青色事業専従者の場合と白色事業専従者の場合で異なり、白色の要件の方が厳しいです。

以下、この3要件をそれぞれ詳しく見ていきます。

【青色・白色共通】条件①:生計を一にする配偶者その他の親族とは

家族のイメージ

まず、「配偶者その他の親族」とは「配偶者・6親等以内の血族・3親等以内の姻族」のことを指します。

そして「生計を一にする」とは、「同じ財布で生活している」ことを意味します。
基本的には同居をしていれば「生計を一にする」と考えてよいのですが、あくまでも判断基準は「誰のお金で生活しているか?」です(参考:所得税基本通達2-47|国税庁)

たとえば、「配偶者の両親と同居しているが完全に家計は別々で管理している」なら、配偶者の両親は同一生計親族には該当しません。

反対に、「別居しているが定期的に生活費を送金している子供がいる」というような場合、その子供は自分にとっての同一生計親族となります。

「生計を一にする」に関する金額的決まりは無いため、判断が難しい場合には税務署や顧問税理士に相談することをおすすめします。

なお、生計が同一でない親族は「事業専従者」には該当しません。
従って、「生計同一ではない親族に支払う給与」は社会通念上不相当に高額でない限り、通常の給料賃金として経費算入が可能ですよ。

【青色・白色共通】条件②:その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること

これは非常に簡単ですね。

その年の12月31日時点で15歳以上になっていれば良いので、たとえば事業専従者になった当初は14歳の子供でも12月31日時点で15才になっていたら、その年の事業専従者として処理可能です。

なお、事業主本人が死亡したり、専従者が死亡した場合は、死亡した時点での年齢で判断しますよ。

【青色・白色共通】条件③:その年を通じて6月を超える期間、その事業主の営む事業に専ら従事するとは

夫婦で働く

「専従者」という言葉がついている事から分かるように、専従者給与が認められるためには「その親族がもっぱら青色申告者の事業に従事していること」という要件が求められます。

もっぱらの基準は「その年を通じて6月を超える期間その事業に従事しているかどうか?」ですが、以下の条件に該当する場合には、その期間は従事期間に含まれません。(参考:所得税法施行令165条2項)

従事期間に含まれない期間
  • 学生である者(ただし夜間学生が昼職に従事する場合、昼間学生が夜職に従事する場合など、専ら事業主の事業に従事することを妨げない場合などは除外)
  • 他に職業を有する者(ただし、極めて短いパートタイムなど労働など、専ら事業主の事業時従事することを妨げない場合は除外)
  • 老衰や心身の障害により事業に従事する能力が著しく阻害されているもの

特に注意が必要なのは「学生の子供を専従者とする場合」「パートタイムで働いている配偶者を専従者とする場合」あたりでしょうか。

たとえば、外でパートタイマーとして週5日・1日8時間程度働いている配偶者を事業専従者として処理できるか?というと、少し難しいような気はしますね。

もちろん、お昼間はパートタイマーで、夜は事業主の夫がやっている居酒屋にフルで入っている、という状態であれば認められるとは思いますが、そもそも働きすぎて体を壊さないか?という問題もあります。

「もっぱら従事」の意味は程度問題なので、画一的にこの場合はOK!この場合はNG!の線引きをするのは難しいですが、常識の範囲内で判断するのが良いでしょう。

なお、「ちゃんと勤務してますよ!」という外観的信頼性をしっかり作るためにも、勤務状況はタイムカードや勤務表でしっかりと管理しておくことをおすすめしますよ!

【青色だけ】条件③の例外:従事可能期間の1/2を超えて働けばOKになる場合

こちらは、事業主が青色申告者の場合にだけ適用されるものですが、以下のいずれかに該当する場合には、従事期間が従事可能期間の1/2を超えていれば「もっぱら従事している」と認められます。

  • 年の途中における開廃業により、その事業が年中を通じて営まれなかった場合
  • 病気による入院・死亡、転職・結婚等の理由によりその年中を通じて生計同一親族としてその事業に従事することができなかった場合

たとえば、1月~8月まで青色事業専従者として働いていた娘が9月に婚姻して別生計になった。⇒この場合は1月~8月のうち4ヶ月以上(1/2以上)従事していたか?という基準で判断します。(参考:年の中途で事業に従事した親族に係る青色事業専従者給与|国税庁

この点、白色事業専従者にはこのような例外的な判定はなく、あくまでも1年を通じて6月を超える期間専従者として働いたのか?で判断するので、若干厳しめですね。

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