FX業者は、口座開設をしたり口座開設後に一定の条件を満たすと数万円程度のキャッシュバックが貰える、というキャンペーンをよく開催しています。
きっとキャッシュバック欲しさに複数の業者で口座開設をした、という方も結構いますよね。
FXで得た利益は、申告分離課税の雑所得として確定申告の対象ですが、キャッシュバックで貰ったお金についても確定申告しないといけないのでしょうか?
ここでは、FX口座の開設によってもらったキャッシュバックを確定申告をすべきなのかどうか、について見ていきます。
FX業者の口座開設キャンペーン
FX業者は、何とか自分のところで口座を開いてもらおうと、口座開設時のキャッシュバックキャンペーンを用意しています。
FX業者の口座開設キャンペーンの一例を見てみましょう。
FX業者名 | キャッシュバック金額 | 条件 |
---|---|---|
SBI証券 | 最大120万円 | 口座開設月の翌月最終営業日までの新規取引の合計数量に応じて最大1,200,000円をキャッシュバック+(FX口座開設後エントリーで200円プレゼント) |
DMMFX | 最大30万円 | 口座開設完了から3ヶ月以内に規定の新規取引数量を達成すると10,000~300,000円のキャッシュバック。30万円のキャッシュバックは120,000ロットを達成するともらえますよ。 |
楽天FX | 最大123万円 | 口座開設月の口座開設月の翌々月末の最終営業日の取引終了時間(ニューヨーククローズ)までの新規取引の合計数量に応じて最大1,230,000円をキャッシュバック+(FX口座開設後エントリーで200円プレゼント) |
口座開設してログインするだけでキャッシュバックされるものや、入金して一定の取引をしないとキャッシュバックされないものなど様々ですね。
口座開設時のキャッシュバックは一時所得なので、基本的には申告不要!
FX業者で口座を開設した際に受け取るキャッシュバックは、業者からお金を貰っている訳なので何かしらの所得に該当し所得税の課税対象になるはずです。
では、10種類ある個人の所得(※)のうち、口座開設時に受け取るキャッシュバックは何所得になるのでしょうか。
※:個人の所得は「利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡・一時・雑」の10種類です(参照元:No.1300 所得の区分のあらまし|国税庁)。
答えは一時所得です。
以下で、一時所得とは何なのか、なぜ一時所得ならキャッシュバックの申告をしなくていいのか、について見ていきましょう。
一時所得とは?
一時所得は、所得税法第34条第1項において以下の様に定義付けされています。
営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないもの
要は「たまたま手に入ったお金」の事ですね。例えば、以下の様なものが一時所得に該当します(参考:法第34条《一時所得》関係|国税庁)。
- 懸賞や福引きで貰った賞金品
- 競馬の馬券の払戻金
- 法人からの贈与により取得する金品
- 遺失物の拾得者や埋蔵物の発見者が受け取る報労金
このうち、FX業者から口座開設で受け取るキャッシュバックが該当するのは「法人からの贈与により取得する金品」ですね。
一時所得の計算方法
FXの口座開設で受け取るキャッシュバックは、一時所得に該当する事が分かりました。では、一時所得はどの様に算出するのでしょうか。
この点、一時所得は以下の計算方法によって計算します(所得税法第34条2項・3項)。
通常、個人の所得は「収入−必要経費」で計算しますが、一時所得の場合はさらに特別控除として最大50万円を差し引く事が出来るのです。
つまり、「一時所得は最低でも50万円以上の収入が無いと税金がかからない」という事ですね。
FXの口座開設で貰うキャッシュバックが年間50万円を超える事はまず無いですよね。従って、基本的にFX口座を開設した際にキャッシュバックを貰ったとしても確定申告をする必要は無いのです。
一時所得の金額が50万円を超える場合は確定申告が必要!
FX業者で口座開設をした際に貰うキャッシュバックは、50万円を超える事は無いでしょうから基本的に確定申告の必要が有りません。
但し、「絶対に確定申告が不要!」という訳ではなく、場合によっては確定申告が必要なケースも有ります。
具体的には、キャッシュバックを貰った年にキャッシュバックの他にも一時所得の対象となる収入が有った場合ですね。
一時所得は全ての収入金額を合計して計算するので、キャッシュバック以外の収入も足して50万円を超えるのであれば、確定申告をしなければなりません。高所得者の場合、ふるさと納税の返礼品も加えると50万円を超える!という事もあるかもしれません。
「キャッシュバックの金額だけで判断する訳ではない」という点に注意が必要ですね。
なお、給与所得者(サラリーマン)や年金所得者は、給与所得や年金による所得以外の年間所得が20万円を超えない場合は、確定申告をする必要が有りません。
例えば、FXによる利益(雑所得)が12万円、一時所得の対象となる収入金額が60万円(収入を得る為の支出は0円)だったとしましょう。この場合、確定申告の必要は有りません。
なぜなら、一時所得の金額は10万円(60万円−特別控除50万円)ですが、上述した様に他の所得と合算する場合は更に2分の1にするからです。
雑所得12万円+一時所得5万円(10万円×1/2)=17万円となり、給与所得以外の所得が20万円以下なので確定申告は不要となります。
注:住民税は申告義務がありますけどね。
現金以外のキャッシュバック(食べ物やカタログギフトなど)も課税対象!
一般的にキャッシュバックというと、現金で受け取る事が多いですよね。しかし、最近はFX業者も色々とキャンペーンを工夫しているので、商品券やカタログギフト、食べ物等様々なものが貰える事も有ります。
商品券は券面額の価値が有るので何となく分かるかもしれないですが、「食べ物や飲み物などを貰ったときでも確定申告しないといけないの?」と思いますよね。
この点、お金以外のものを貰った場合でもお金に換算(時価評価)して所得の計算をしなければなりません。そして、食べ物などは「小売販売価額(現金正価)の60%相当額で評価」する事になります(国税庁「所得税基本通達205-9」)。
キャンペーンで現金以外のものを貰った場合は、確定申告は不要と思ってしまいがちですが、所得の計算には含めないといけないという事ですね。
キャッシュバックが雑所得になるケースも有る!?
上述の通り、FX業者で口座を開設した際に、口座にお金を入金して取引をすれば貰う事の出来る様なタイプのキャッシュバックは、一時所得に該当するので年間で貰う金額が50万円を超えない限り確定申告をする必要は有りません。
しかし、場合によっては雑所得として確定申告をしなければならない事が有るようです。
例えば、口座を既に持っている方を対象に、一定期間の間に行う取引量に応じてキャッシュバックする様な場合ですね。この様なケースでは「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」に該当し、一時所得ではないという事になるのでしょうね。
つまり、口座開設時のキャッシュバック目的で口座を開いたという場合は一時所得に該当し、その後も継続的に取引をして取引量に応じたキャッシュバックを貰ったのであれば雑所得に該当する、といった感じですね。
結構曖昧な説明になってしまいますね・・・。ここの部分については、税法等で決まりが有る訳では無いので、詳細は国税局や所轄の税務署等に電話で確認した方が良いでしょう。
参考に、GMOクリック証券のホームページでは、以下の様な記載がされています。
当社キャンペーンや特典でのプレゼント金は、一時所得もしくは雑所得となり総合課税の対象となる場合があります。
キャンペーンや特典などでキャッシュバックされたお金は、確定申告が必要ですか? | よくあるご質問 | GMOクリック証券
まとめ
いかがでしたか?基本的に口座開設でもらったキャッシュバックは一時所得に該当するので、よほどの事が無い限り確定申告をする必要は有りません。
片っ端から口座開設をしてキャッシュバックをもらったとしても、恐らく税金がかかるほどの収入にはならないでしょう。
一方で、キャンペーンによっては雑所得の対象になる事も有るので、こちらについては注意が必要ですね。