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何割までOK!?自宅でFX取引をしている時の経費の家事按分!

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FXの経費に関する家事按分の考え方

「FXの所得を確定申告するんだけど、家賃や通信費などの経費はどうやって計上すればいいの?何割とかって決まってるの?」

こういった疑問は、確定申告の際に多くの方が経験するものです。

FXの所得は、「先物取引に係る雑所得等」として所得の20.315%が課税されるのですが、所得計算の際には必要経費を差し引く事ができます。

この必要経費には、セミナー参加費の様にFX特有の経費もあれば、通信費の様に日常生活で発生する費用の中に含まれるものもありますよね。

「FXで利益を得る為に必要だったけど、もともと日常生活でもかかる費用」の場合は、どの様に必要経費として計上すればいいのでしょうか?ここでは、経費按分の考え方や方法について見ていきましょう。

目次

FXの利益から控除出来る必要経費とは?

FX所得の金額は以下の計算式で算出します。

総収入金額−必要経費=所得金額

計算式を見ればわかる様に、所得の計算をする際にFX取引の利益から利益を得る為に必要だった費用を「必要経費」として差し引く事が可能です。

FX取引で発生する必要経費としては、主に以下のようなものがありますね。

  • セミナー参加費用や交通費
  • 通信費(プロバイダ・ネット回線・VPSなど)
  • FX関連書籍の購入代金
  • PC購入費用
  • 家賃・光熱費
  • プリンターなどの事務用品費
参考にどうぞ
【完全保存版】FXの必要経費として認められるもの・認められないものまとめ! FXの所得について確定申告をする際に、取引利益から必要経費を引く事ができるのですが、必要経費って一体何なのでしょうか?何が必要経費として認められて何が認められないのか、なかなか判断が難しいですよね。例えば、FX関連のセミナー代やパソコンの購入費用、自宅の家賃などetc...ここでは、FXの必要経費として認められるかどうかについてわかりやすく解説していきます。

しかし、家賃や光熱費・通信費などの費用ついては、その全てが必要経費として計上出来る訳ではありません。

どういう事なのか、以下で見ていきましょう。

家賃や通信費などの家事関連費は家事按分が必要!その方法や考え方は?

法人の場合は個人と納税主体が別なので、こういった議論は特に出てこないのですが、個人の場合は「日常生活を送っているあなた」と「FXで所得を得ているあなた」は同じ人です。

従って、例えば自宅で生活をしながらFX取引で利益を得ている場合、家賃は生活のためとFXで利益を得るための2面性を持っていると言うことができますよね。この様な費用を家事関連費と言い、家事関連費は全額を必要経費にする事は出来ません。

必要経費に出来ないとはどういう事なのか、いくらなら必要経費に出来るのか、という点について法律や通達などから紐解いてみましょう。

所得の金額を計算する際に収入金額から差し引くことの出来ないものについて、所得税法第45条第1項では以下の様に規定されています。

第四十五条 居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。
一 家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの
二以下省略

所得税法第45条第1項

ここでいう政令とは所得税法施行令第96条を指しているので、そちらも先に見てみましょう。

第九十六条 法第四十五条第一項第一号(必要経費とされない家事関連費)に規定する政令で定める経費は、次に掲げる経費以外の経費とする。
一 家事上の経費に関連する経費の主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費
二 省略

所得税法施行令第96条

この2つを要約すると、

家事上の経費は基本的に必要経費にはならないけど、家事上の経費の主たる部分が雑所得(FXの利益はこれ!)を得る為に必要なもので、必要な部分を明確に区分出来るものは必要経費にしてもOK!

ということですね。

「主たる部分」って表現はちょっと曖昧ですが、この点については国税庁の所得税法基本通達45-1によると、以下の通り。

業務の内容、経費の内容、家族及び使用人の構成、店舗併用の家屋その他の資産の利用状況等を総合勘案して判定する。

所得税法基本通達45-1

「種々の状況を総合的に勘案して判定する!」という事で、通達上もふわっとした感じになっていますね。総合的に勘案するといっても、何かしらの指標は欲しいところですよね。そこで、同通達45-2では、以下の様に判定の基準を示しています。

その支出する金額のうち当該業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかにより判定するものとする。ただし、当該必要な部分の金額が50%以下であっても、その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、当該必要である部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えない。

所得税法基本通達45-2

「FXで利益を得る為にその費用の50%以上が必要だった事が必要!ただし、50%以下でもちゃんと必要な部分を区分出来るのであれば必要経費にしてもいいよ!」という事ですね。

50%という一応の基準は示されているけど、最終的にはきちんと区分出来るのであれば割合は関係なく必要経費にしても良い、という訳です。

FXで利益を得るために貢献した家賃というと、FXをしている空間のみですよね。従って、FX取引で家賃を必要経費にする場合、FXをしている空間分の家賃はOKですが、日常生活をしている空間分の家賃は必要経費とは言えません。

そこで、確定申告をする際には、家賃を日常生活部分とFX部分(必要経費)とに分ける事が必要です。税金の世界では、これを家事按分と呼んでいます。

では、家事按分はどの様にすればいいのでしょうか。以下で見てみましょう。

FXで経費を計上する際の家事按分の方法

ここでは、家事関連費の内容毎に家事按分の方法の一例を紹介しますね。

家事按分の割合をどうしたら良いかという点については、税務署の方に聞いても教えてはくれません。なぜなら、日本は申告納税制度(まずは自分の判断で申告する)を採用しているからです。従って、自分で合理的な割合を算出して決めなければなりません。

家賃や光熱費の家事按分の考え方

家事按分で多くの方が悩むのが、家賃や光熱費の按分割合です。FXを自宅でしている場合、何割くらいを必要経費にすれば良いのでしょうか?

この点、まず前提として家賃は基本的にFX所得を計算する際の必要経費にする事は出来ない、と考えておきましょう。パソコン1つあれば(最近はスマホやタブレットなどでも可能)FX取引は可能で、副業的にFXをする様な場合は家賃がFX取引に直接必要なものとは言えないからです。

しかし、専業のFXトレーダーにはよく見られ、副業でFXをしている方の中にもたまにいるのが「FX専用のトレードルーム」を自宅に作っているケースですね。

複数のモニターを繋いだパソコンを設置して、専門書籍がたくさん並んだトレードにしか使わない様な部屋を作っている場合、その空間については「日常生活と切り離している」という事ができます。

この様なケースでは、トレード専用の部屋部分の家賃については必要経費として計上する事が出来る、と考えられます。

では、どのようにして家事按分をすればいいでしょうか?

この点、もっとも一般的な按分方法は部屋の面積割合で按分する、というものです。

例えば、以下の図を見てください。

FXでトレードルームを経費計上する際の部屋割りの例

自宅の専有面積が75㎡で、トレード専用ルームの面積が15㎡だった場合、トレード専用ルームは全体の20%です。そこで、家賃の20%を必要経費にする、という方法ですね。

例えば毎月の家賃が8万円だった場合は、1万6千円(=8万円×20%)が必要経費になるという訳です。

なお、光熱費については一般的に家賃の割合に準じて必要経費に算入すればOKです。ただし、FXの場合は水道代やガス代は関係ないでしょうから、必要経費にできるとしたら電気代だけですね。

PC購入費(減価償却費含む)の家事按分の考え方

PCの購入費についても家賃や光熱費と基本的な考え方は同じです。パソコンはとても便利で、調べ物やゲームに動画などいろんな場面で使う事になります。自分以外の家族が使う事もあるでしょう。

従って、基本的にはパソコンの購入費についてもFX取引の必要経費にならない、もしくは必要経費に出来るとしてもその割合は微々たるものでしょう。

ただし、生活用のパソコンとは分けてFX取引専用のパソコンを購入する様な場合は、必要経費にする余地は生まれてきますね。

それでも、FX以外に全く使わないとうケースはあまりないでしょうから、必要経費に算入するのは5〜8割程度に抑えておいた方が良いのかなと考えられます(完全にFX以外の用途に使っていないのであれば、理屈上は100%入れても問題ないですけどね。)

なお、パソコンはスペックによっては高額になるケースがあります。雑所得として申告する場合は10万円以上の買い物は減価償却の対象()になりますが、減価償却についても家事按分の考え方は同じです。

:「FXで利益がたくさん出たから、年末に良いパソコンに買い換えよう!」と考えても、買った金額の全てがその年の必要経費になるわけではないので、注意が必要です。

例えば、12万円の新しいパソコン(耐用年数は4年)を3月に買った場合、その年の減価償却費は以下の通りです。

120,000円×0.25(償却率)×10ヶ月÷12ヶ月=25,000円

仮に、FXの為に使用している割合が8割なのであれば、必要経費となるのは以下の金額となります。

25,000円×80%=20,000円

「12万円の8割は9万6千円で10万円未満なので、一括で必要経費!」という事は出来ないので注意しましょうね。購入時の金額に使用割合を掛けるのではなく、減価償却費に使用割合を掛ける必要があります。

通信費の家事按分の考え方〜100%計上するなら専用回線を!〜

FXをするにはネット回線が必要なので、通信費が必然的に発生します。この通信費の按分はどの様にすれば良いのでしょうか。

まず、ネット回線を生活用とFX用で特に区別していない場合ですが、この場合はネット回線の使用時間で按分するのが良いでしょう。

基本的にネット回線の利用料金(プロバイダ料も含む)は毎月定額料金なので、時間を集計しておけば按分自体は簡単です。

次に、それは面倒だ!もっと簡単な方法で必要経費にしたい!という方は、ネット回線をFX専用で契約するのはいかがでしょう。完全にFX専用にすれば、按分という概念も無くなるのでかかった通信費を全額必要経費にする事ができますよ。

例えば、自宅のネット回線はNTTのフレッツ光を使って、FXトレードはKDDI回線のWiMaxを使うといった様な感じですね(完全に分けると費用は余計にかかってしまいますけどね)。

【コラム】専業トレーダーや兼業トレーダー、主婦、学生などの属性によって経費の按分は変わる?

FXの経費按分について見てきましたが、FXトレーダーの中には専業でFXの利益が最大の収入源という方や普段はサラリーマンで副業でFX取引をしている方、主婦や学生など様々なタイプがいます。

これらトレーダーの属性によって経費の按分は変わるのでしょうか?

この点、上でもちらっと触れましたが、専業トレーダーの場合はトレード専用の部屋を作っているケースが多いです。一方で、その他の方はリビングや自分の部屋においてあるパソコン・スマホで取引をする事が多いですよね。

それに、当然専業トレーダーは他の方と比べると、FXに割く時間も多いでしょう。

従って、専業トレーダーは他の属性の方と比べると、必要経費となる割合は多くなる傾向があるでしょうね。学生や主婦、副業トレーダーについてはそれほど大きな違いはないでしょう。

最後に

FXでかかった必要経費の按分について、考え方や按分方法を見てきました。

FX取引で利益が出た場合、可能であれば税金を低めに抑えて翌年以降の証拠金に充てたいですよね。その為にも家事按分についてしっかりと理解しておき、FXの為にかかったと明確に言える部分については必要経費計上すると良いでしょう。

ただし、下手に必要経費を申告して、税務署に目をつけられるのは嫌だ!という方は必要経費なしで申告するのもアリですけどね・・・。文中にも出てきましたが、日本は申告納税制度を採用しているので、法律等に準拠した上で自分が合理的だと思った方法で申告すればOKです。

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