FXで利益が出たのに確定申告をしていないという方!
申告期限を過ぎても税務署から連絡が無いからといって安心していませんか?
すぐに連絡が無かったとしても、税務署はFXによる利益をきちんと把握しています。放っておくと後々税務署からお尋ねが来る事になりますよ!
この記事では「税務署がすぐに連絡してこない理由」や「無申告が原因で発生する追徴課税の問題」等について見ていきます。
無申告でも税務署はすぐには連絡をしてこない!?
個人の方は1月1日から12月31日までの間に得た所得について、翌年2月16日から3月15日(※)までの間に確定申告・納税をしなければなりません(参照元:No.2020 確定申告|国税庁)。
しかし、一度確定申告に遅れたりFXの利益分を申告していなかったからといって、税務署は「所得が有るはずなので申告をして下さい!」とすぐに連絡をして来る訳では有りません。
FXの取引は業者から税務署に資料が提出されるので、申告がされていない事は筒抜けなのですが、それでも税務署はすぐには連絡をしてこないです。
多いのは、申告期限から3年程度経過してから連絡をしてくるというパターンですね。これには以下の様な理由が考えられます。
更正・決定の期限は5年!
まず考えられるのは、税務署が納税者に対して「無申告だから税金を払いなさい!」と言うことが出来るのは申告期限後5年まで(※)、という点です(参照元:財務省「更正・決定の期間制限、更正の請求期間」)。
FXの利益を申告していない人がいても、5年以内に連絡をして申告させればOKですし、後から数年分まとめて申告させた方が加算税や延滞税(後述します)もまとめて徴収出来るので、税務署としてはすぐに連絡するよりも効率的な上にお得という訳です。
逐一連絡するほど暇ではない!
税務署では近年人材不足が問題となっています。税務調査のメインとなる30代の職員が不足している事も有り、2016年度から社会人経験者の採用を拡大している様です。
つまり、無申告の方にすぐ連絡が来ないのは「申告が遅れている方や申告漏れが有る方の全てに逐一連絡をする程、人材に余裕は無いから」、という事も考えられますね。
それに、FXによる所得が有る事は業者から提出された資料で把握出来ているので、急がなくても追徴課税はほぼ確定していますからね・・・。後回しにしても特段問題は無い訳です。
自分で申告してくれるかもしれない!
申告期限に間に合わなかったりFXの利益が申告から漏れていたとしても、本人が気付いて自ら申告する可能性も有りますよね。
意図的に申告していない方に対して自主申告を期待しても無駄ですが、無申告の方の中には「単に申告を忘れていただけ」「忙しくて間に合わなかっただけ」という方もいるはずです。
税務署としては、最終的にきちんと申告をしてくれれば問題有りません。敢えてそこで頑張って連絡をする事はせずに、「当面は自ら申告をしてくれるのを待ちましょう」というスタンスですね。
税務署からお尋ね文書や呼び出し通知が来る!
日常生活を送っていて、一般の方に税務署から連絡が来る事は滅多に有りません。個人事業主や会社経営者であればともかく、サラリーマンの方は医療費控除や住宅ローン控除以外で税務署のお世話になる事はほとんど無いでしょう。
では、税務署から連絡が有るケースとはどんなものが有るのでしょうか?
連絡の内容としては、主に以下の様なものが考えられます。
- 税務調査の通知
- 無申告の場合の連絡
- 申告時の書類に不備が有った
- 納税がされていない場合の確認
- 還付が有る場合の還付先口座の確認
FX所得が無申告の場合は、「税務調査の通知」と「無申告の場合の連絡」の可能性が高いですね。FXでの所得を申告していなかったのであれば、個人投資家であろうがサラリーマンが副業でFXをやっていようが、関係無く連絡が来る可能性を秘めています。
なお、無申告時の税務署からの連絡は、基本的に文書の郵送です。そもそも、電話をしようにも無申告なので電話番号が分からないですしね。
送られて来る文書には、行政指導としての「お尋ね文書」と税務調査としての「呼び出し通知」が有ります。(調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)|国税庁」)
お尋ね文書は、「○○についてのお尋ね」というタイトルで送られて来るのですが、これは自発的な申告を促す為の文書なので内容に従って資料を提出するかどうかは任意です。しかし、提出しないとそのまま税務調査に移行する事もあるので、納税者に選択肢はあまり無いと考えておいた方が良いでしょう。
一方で、呼び出し通知は「○○税の申告について」というタイトルで送られて来ます。これは税務調査の実施を通知する為のものなので、正当な理由無く拒否すると後々不利益な扱いをされても反論出来ません。
ちなみに、呼出通知には「○年分の所得税について」と記載されていますが、これは「FXの取引をした年度」の事を意味しています。例えば平成24年分と書いていれば、平成24年に実現した利益に対して(平成25年3月15日までに納税すべき税金)の問合せという事ですね。
なお、税務署から連絡が有ったという事は、基本的に税務署は課税出来る証拠が手元に揃っているという事です。悪あがきせずに正直に税務署に行って話をする様にしましょう。収入に関しては税務署が資料を持っているので、FXの利益を得る為に必要だった経費分を何とか説明出来る様にしたいですね。
とはいっても、無申告の人が過去の資料を全て残している事は考えづらいですから、そこは担当者と交渉する事になるでしょう。
ちなみに、税務署の人は別に恐くありません。以前は威圧的な態度を取る人もいましたが、最近は減って来ていますね。但し、恐くないからといって税金をおまけしてくれる訳ではないので、淡々と手続きが進んでいく事でしょう。
FXの利益が無申告だった場合の加算税や延滞税など
FXによる利益を申告していなくて後で税務署から指摘された場合、本来払うべき税金(これを「本税」と言います)の他に、申告期限までに申告をしなかった事による罰金である「無申告加算税」や本税を払い終わるまでの「延滞税」を追加で支払う必要が有ります。
例えば、令和6年5月末に税務署から連絡が有り、令和2年分のFXに関する所得の申告漏れ(200万円)を指摘されたとします。この場合、どれくらいの税金を支払う必要が有るか見てみましょう。なお、分かりやすくする為に、FX以外の所得は無視します。
FXによる所得は「雑所得」として所得税率15%(住民税5%)の分離課税です。従って、200万円×15%=30万円が申告漏れの本税です(復興特別所得税として別途6,300円。)
税務署から無申告を指摘された場合の無申告加算税は15%なので、30万円×15%=4万5千円となります。延滞税は、本税を払い終わるまで確定しませんが令和6年6月末に払い終えたとすれば1万円弱でしょう。
なお、自分が申告漏れしていた場合は、対応する税金を払えば終わりですが、扶養親族がFXで利益を得ていて申告漏れが発覚した場合は少し異なります。
扶養親族が自分の税金を払うのは当然ですが、扶養親族として扶養控除や配偶者控除を受けていた方は、控除を受けられなくなる可能性が有るのです。そうなると、親や配偶者も追加で税金を払わなければならなくなります。
家族に迷惑をかけないためにも、必ず確定申告をする様にしましょうね。
最後に
FXによって得た利益は、税務署側で把握しています。大きな脱税じゃなければ見逃してくれるだろう、という甘い考えは通用しません。営業マンでも、絶対に取れる簡単な仕事は逃さず取りますよね。税務署もFXに関する申告漏れは重要視しているので、無申告のまま終わるとは思わないで下さい。
無申告のまま1年経ったけど税務署から連絡が無いという場合、それは税務署が気付いていないのではなく「気付いているけど泳がせている」という事を知っておきましょう。
なお、無申告の期間はFXで潤っていたとしても、税務署から連絡があった時点では赤字となっていて納税資金が無いというケースも有り得ます。後々資金繰りで困らない様に、税務署にばれるのを待つのではなく自ら期限内に申告・納税を済ませておく様にしましょうね。