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個人事業主の預金利息の仕訳方法。勘定科目は「事業主借」で処理しよう!

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個人事業主の預金利息の処理

「事業用の銀行口座に利子(利息)が入っていたんだけど、これって勘定科目は受取利息として処理すれば良いのかな?」

初めて帳簿を付ける自営業の方がよく悩む問題ですが、結論から言いまして個人事業主が預金利息を受け取ったら、受取利息ではなく「事業主借」で処理してください。

法人であれば受取利息で処理して良いんですけどね。
ここが個人の所得税と法人税の課税の仕方の違いが出てくる場面でして、多くの人が悩みます。

以下、この記事では「なぜ個人の預金利息を事業主借で処理するのか?」「実際の帳簿付はどうやってするのか」について紹介していきたいと思います。

なお、事業主借・事業主貸勘定の意味がいまいちよく分からない方は下記記事も参照してください。

参考にどうぞ
個人の会計仕訳の要!「事業主貸」「事業主借」を税理士が分かりやすく事例付で解説! 個人事業主の会計仕訳の要とも言えるのが「事業主貸」「事業主借」の2つの勘定科目です。個人事業主はどうしても事業とプライベートを完全に切り分ける事が出来ないので、この勘定が無いと決算を組むことが出来ません。今回の記事ではいわゆる事業主勘定の会計処理方法を具体例付で紹介していきます。
目次

なぜ個人の預金利息は事業主借で処理するの?⇒預金利息は利子所得だから!

個人の方にかかってくる税金は所得税です。

所得税法では、個人の所得を「①利子所得②配当所得③不動産所得④事業所得⑤給与所得⑥退職所得⑦山林所得⑧譲渡所得⑨一時所得⑩雑所得」の10種類の区分に分けて、その所得の担税力に応じて課税の仕方を変えています。

事業用の銀行口座に入金された預金利子なら「事業所得かな?」と思うかもしれませんが、

たとえ事業用口座に入金された利子でも、個人の方が受け取った預貯金の利子や公社債の利子などは法律で「利子所得」に分類される事になっています(参考:No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)|国税庁

そのため、利子所得に該当する預金利息をそのまま「受取利息」として計上してしまうと事業所得の計算が正しく出来なくなってしまうので、入金された預金利子は、プライベートのお金が入金されたものと考えて「事業主借」で処理するわけです。

個人事業主が預金利息を受け取ったときの仕訳例~勘定科目は「事業主借」で処理!

仕訳をつけている人

個人の方が銀行預金の利子を受け取る場合、あらかじめ各種の税金が差し引かれた金額が入金されます。(あらかじめ各種税金を銀行が差し引くことを源泉徴収と言います。)

預金利息から源泉徴収される税金は「源泉所得税・復興特別所得税・地方税」の3つで、税率は合計で20.315%(源泉所得税15%、復興特別所得税0.315%(*1)、地方税5%(*2))です。

*1 復興特別所得税は厳密には源泉所得税の金額に2.1%をかけて算出されます。そのため、15×2.1%=0.315%となります。また、復興特別所得税は平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間に支払を受ける利子等について源泉徴収されます。

*2 ちなみに、平成28年1月より法人の預金利子からは利子割(地方税)の徴収が無くなりました。そのため、法人の場合は所得税と復興特別所得税の合計15.315%が源泉徴収されます。

もし仮に税金の源泉徴収前の金額を知りたいのであれば、「入金額÷0.79685(20.315%の逆数)」で計算すれば、税込みの金額を算出できますよ。

ただ、利子所得は源泉分離課税なので源泉徴収された段階で納税が完了します。

従って、個人事業主の方は入金された預金利子を以下の例のように仕訳するだけでOKですよ。
わざわざ確定申告期に利子所得の金額はいくらかな?と計算して利子所得の確定申告をする必要はありません。

仕訳例①:純額の預金利子が記帳されている場合【通常】

多くの銀行では、既に税金を徴収した後の純額の預金利子分だけが通帳に記帳されます。

預金利子総額:100
源泉徴収税額:20
預金利子入金額:80

だとしたら、「預金利子入金額:80」だけが通帳に記帳されているってことです。

この場合は、以下のように仕訳すればOKです。

借方貸方摘要
普通預金 80事業主借 80預金利子の入金

仕訳例②:総額の預金利子の入金と源泉徴収分の出金の2つが記帳されている場合【例外】

銀行によっては、一旦総額の預金利子を入金した上で、源泉徴収分の税金を後から出金するという形で、預金利子に関する記帳が通帳に2本記入される場合があります。

預金利子総額:100
源泉徴収税額:20
預金利子入金額:80

この場合には、以下のように仕訳してください。

この場合には、以下のように仕訳してください。

借方貸方摘要
普通預金 100事業主借 100預金利子の入金(総額)
事業主借 20普通預金 20預金の源泉徴収分

借方の「事業主借 20」は「事業主貸 20」で処理しても大丈夫ですよ!

仕訳例③:消費税課税事業者の場合(本則課税の場合)

仕訳②までは、免税事業者を想定して書いておりますが仕訳例③では消費税課税事業者の場合の仕訳方法を紹介しておきます。利子所得なのに消費税関係あるの?という気がしますが、実は関係あります。

とはいえ、関係あるのは「消費税課税事業者かつ本則課税の人だけ」です。

なぜ課税事業者かつ本則課税の人にだけ関係あるかというと、個人事業者でも事業用預金の受取利息は非課税売上割合の算定上、「非課税売上」としてカウントされるからです。非課税売上割合が変わると消費税の計算方法が変わったり、税額が変わったりします。

そのため、以下のような感じで仕訳を切っておいて下さい

★純額で入金記帳されている場合

借方貸方摘要
普通預金 80事業主借(補助:受取利息) 100預金利子の入金(総額)
事業主貸 20預金の源泉徴収分

★総額で入金があってから源泉分が出金される記帳タイプの場合

借方貸方摘要
普通預金 100事業主借(補助:受取利息) 100預金利子の入金(総額)
事業主貸 20普通預金 100-預金の源泉徴収分

仕訳例①と②の違いは、事業主借に補助科目を付けて受取利息を別途把握していることです。こうすることで非課税売上となる受取利息をスムーズに集計することが出来ます。

ちなみに、弥生会計だと初期設定の段階で受取利息は「事業主借の受取利息」で処理されます。

とはいえ、この低金利の時代ですから多くの人にとって預金利息が消費税額に影響を与えるほどのインパクトはありません。なので、基本的には仕訳例①、仕訳例②で仕訳を切っておけば大丈夫です。

まとめ

個人事業主の方が預金利息を受取利息で処理してしまうと、利子所得として既に課税されてるのに、事業所得としても課税されてしまいます。

最近は低利率が続いていますから、仮に預金利息が事業所得として課税されたとしても微々たる金額にしかなりませんが、損なものは損です。

「事業主借」で正しく処理して確定申告を行いましょうね!

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