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郵便切手の勘定科目・仕訳問題をスッキリ解説!消費税の取り扱いも紹介!

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「郵便切手代ってどういう勘定科目でどうやって仕訳すればいいの?」
「切手と印紙で使う勘定科目は違うの?」

などなど、意外に細かい疑問が発生する「切手問題」。意外に分かりにくいですよね。

なぜ分かりにくいかと言うと、切手は「①購入する時②使用する時」という2つの場面があるからです。

で、税務・会計の処理方法も原則と例外があり、実務的には「例外」の方法が採用されているため、それがややこしさに更に拍車をかけています。

今回の記事ではこの問題をスッキリ理解できるように解説していきますよ!

まずは郵便切手と混同しやすい収入印紙や封筒との処理方法の違いを見てから、郵便切手の会計仕訳の処理方法や消費税の処理方法を見ていきますよ。

目次

【勘違いしやすい!】郵便切手を使った時の費用計上科目は通信費!印紙とは勘定科目が違う!

使用済みの郵便切手

前提として「郵便切手」は使った時に「通信費」として処理し、資産勘定で計上する時は「貯蔵品」勘定を使うと覚えて下さい。

郵便は通信のための手段なので、配送を郵便局等にお願いするための費用として使った時に「通信費」になります。

で、間違えやすいのが印紙や封筒の処理方法ですよね。

ここで郵便切手と同じように処理するもの、処理しないものをまとめてみました。

切手と同じ処理になるもの 切手とは違う処理になるもの
代金が含まれたハガキ 収入印紙や週認証し
レターパック 封筒・代金が含まれていないハガキ
ゆうパック

郵便切手と同じ処理・勘定科目になるもの(レターパックやゆうパック)

まず、いわゆる郵便はがき(代金が含まれているもの)、レターパック、ゆうパックなど、主として郵便局が販売しているものは郵便切手と同じ処理をすることになります。

あとで切手の仕訳方法を解説していますが、基本的に全て同じように処理すればOKです。

郵便切手と同じ処理・勘定科目にならないもの(印紙や封筒)

収入印紙は税金の支払いで使われるため「租税公課」勘定で処理します。資産として計上する時は印紙も郵便切手と同様に「貯蔵品勘定」を使いますが、費用計上科目は違いますので注意して下さい。

そして、封筒や郵便はがきではないハガキ(切手を貼らないと送付出来ないハガキ)は、購入時に「消耗品費」として処理します。封筒等があったところで郵送自体は行えないですから、これらは「通信費」として処理するものではありません。

以上を踏まえて、郵便切手の仕訳・会計処理方法を見ていきますね。

郵便切手の会計処理の方法

仕訳をつけている人

冒頭でも書きましたが、郵便切手の会計処理は原則と例外(以下、例外①と呼びます)があり、さらに例外には例外(以下、例外②と呼びます)があります。

購入時と使用時および決算時に使用する勘定科目を原則と例外でまとめると以下のようになります。

購入時の勘定科目使用時の勘定科目決算時の処理
原則貯蔵品勘定通信費勘定処理なし
例外①通信費勘定処理なし棚卸をして決算整理仕訳で未使用分を貯蔵品勘定に振替
例外②通信費勘定処理なし例外によりおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費をしているのであれば棚卸不要(参考:所得税基本通達37-30の3)

で、郵便切手の処理の方法は実務上「例外②」で行われます。実務的には原則も例外①も何かしらの事務処理が必要で煩雑になるからです。

例外②は買ったときに処理すればそれで終わりですから楽ちんですよね。そのため、例外②が一般的に採用されています。

以下、以下の前提をもとに、それぞれについて仕訳方法をまとめておきます。

 

仕訳前提:郵便切手84を10枚購入。期中に8枚消費し、2枚は期末に残った。

原則の仕訳:購入時は貯蔵品、使用時に通信費勘定で処理

【購入時の仕訳】

借方貸方摘要
貯蔵品 840現金 840切手84円×10枚

【使用時の仕訳】

借方貸方摘要
通信費 672貯蔵品 672切手84円×8枚使用

使った分を借方「通信費」として、貸方には資産勘定である「貯蔵品」をもってきます。

【決算時の仕訳】

なし

原則の場合、決算時に仕訳は入りません。

注:もちろん、この場合でも棚卸・実査を行って不明差異があったら雑損・雑収入を相手勘定にして仕訳を入れる必要はありますよ。がありますが、理論的には必要ないです。

例外①の仕訳:購入時に通信費、決算時に貯蔵品勘定へ振替

【購入時の仕訳】

借方貸方摘要
通信費 840現金 840切手84円×10枚

【使用時の仕訳】

なし

既に費用計上されているため「例外①」のときは使用時の会計処理はありません。

【決算時の仕訳】

借方貸方摘要
貯蔵品 168通信費 168切手84円×2枚(棚卸で確定)

決算時には棚卸(実査)をして、実際有高を調べます。そして実際にある分を貯蔵品勘定に振り替えます。切手2枚は実際には使用していないので通信費からマイナスします。

例外②の処理(実務的にはこれを採用!):購入時に通信費で処理、使用時・決算時は何もしない

【購入時の仕訳】

借方貸方摘要
通信費 840通信費 840切手84円×10枚

【使用時の仕訳】

なし

【決算時の仕訳】

なし

はい、例外②が一番スッキリしていますよね。

実務的にもこちらの方法を採用されている事業主の方が一番多いはずです。

ただし例外②の方法で処理することが出来るのは、「①各事業年度ごとにおおむね一定数量取得し、かつ、②経常的に消費するもの」に限られます。また、例外②の方法を採用した場合には毎期継続して例外②の方法で処理していく必要があります。

今期は原則で仕訳をして、来期は例外①で仕訳をして、来々期は例外②で仕訳しよう!ってのは認められないので注意しましょう。

郵便切手の消費税の処理⇒原則は使用時に課税仕入れで処理

税金のイメージ

続いて消費税ですが、郵便切手に含まれる消費税に関しても購入時ではなく使用時に課税仕入として処理するのが原則です(参考:消費税法基本通達11-3-7)

しかし、会計仕訳として「例外②」が実務的に採用されている状況において、使用時にしか課税仕入として認識できないとなると、かなり事務処理手続が煩雑になります。

そこで通達では、自ら使用する郵便切手類等に関しては、継続して支払った年の課税仕入として処理する限りにおいて、購入時に課税仕入として処理することが可能と定められています。

要は、会計仕訳の「原則・例外①・例外②」のいずれもを選んだとしても、購入した時に課税仕入として処理しておけばOKってことです。

さきほどの仕訳例で言うと、購入時に貯蔵品勘定として処理するなら下記のようになります。

借方貸方摘要
貯蔵品 770通信費 840切手84円×10枚
仮払消費税 70

購入時に消耗品勘定として処理するなら下記のようになります。

借方貸方摘要
通信費 770通信費 840切手84円×10枚
仮払消費税 70

【参考】金券ショップ等で購入した郵便切手は購入時に課税仕入として処理する

郵便局等一定の販売所で購入した郵便切手は「使用時」に課税仕入として処理するのが原則です。これは、「郵便局が行う郵便切手類の譲渡が消費税の非課税取引」に該当することと関係しています((参考:消費税基本通達6-4-1)。

しかし、金券ショップ等で購入した郵便切手等は購入時に課税仕入として処理します。なぜなら、金券ショップ等が行う郵便切手類の譲渡は非課税取引として指定されていないからですね。

購入場所別で消費税の課税取引になるのか非課税取引になるかをまとめたのがこちらの表です。以下のようになります。

購入時の課税関係販売所
非課税取引日本郵便株式会社(郵便局)、簡易郵便局(委託された施設)、郵便切手類販売所(例:コンビニなど)
課税取引金券ショップ、チケットショップなど

ただし、先ほどのセクションで述べたように郵便局等で購入した切手類は継続適用を条件に購入時に課税仕入として処理することが可能です。なので、切手を買ったらすぐに課税仕入として処理しておけばOK!と考えておいた良いでしょう。

まとめ

以上、郵便切手の仕訳・勘定科目処理を中心に見てきました。

原則と例外があってややこしいですが、個人事業主なら購入時に一括して費用処理するのが良いと思います。一番シンプルで簡単です。

なお、購入時に費用処理出来るのを良いことに、「切手類を大量購入⇒経費処理⇒金券ショップで換金してポケットマネーをゲット!」みたいな事をする人がまれにいるようですが、これはいわゆる脱税なので絶対にやめておきましょう。

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