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間違えやすい個人事業主の受取利息の仕訳問題。貸付金や預金などパターン別に紹介。

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貸付金や預金利息の仕訳

「個人事業主の利息は事業主借で処理しておけばOKって聞いたけど違う場合があるの!?」

これ、意外に多くの人が悩む質問です。

結論から言うと、銀行預金の受取利息であれば事業主借で処理しておけばOKです。
しかし、受取利息と言ってもいくつかの種類がありますので、銀行以外からの受取利息だとまた違う処理になることがあるのです。

それもこれも、法人と違って個人の所得は10種類に分けられるからですね(参考:個人事業主の10種類の所得のおさらい)。

今回の記事では個人事業主に影響がありそうな「受取利息」について、利息のパターン別に仕訳を紹介するとともに、その所得が「どの所得」に該当するのがかまとめていきます。

ちなみに、個人事業主で影響ありそうな取引の所得分類と仕訳方法をまとめると以下の3パターンとなりますよ。

内容所得分類仕訳方法
預金利息利子所得事業主借で処理
知人への貸付金から出る受取利息雑所得事業主借で処理
取引先への貸付金から出る受取利息事業所得雑収入(受取利息)で処理

以下、この3パターンについて一つずつ詳しく見ていきますよ!

目次

銀行預金の受取利息の処理方法

預金通帳

個人事業主にとって、もっともよく出会うのが銀行預金の受取利息です。

こちらの仕訳方法は入金額を以下のように処理するだけでOKです。
ここでは80円の利息が入金されたとしましょう。

借方貸方摘要
普通預金 80事業主借 80預金利子の入金

個人事業主の預金利息は、所得分類上「利子所得」に該当するものであり、事業所得には当たりません。

また、利子所得はその受取時に既に20.315%分の税金の源泉徴収(源泉分離課税)が行われているため、確定申告をする必要もありません。

源泉分離課税という難しい言葉を使っています、要は個人が受け取る預金利息は受取時に課税が行われている!⇒だから確定申告も不要!と考えて下さい。

にも関わらず、下記のような仕訳を行って預金利息を事業所得に算入されている方が一定数いらっしゃいます。

借方貸方摘要
普通預金 80受取利息(雑収入) 80預金利子の入金

受取利息で仕訳を切ってしまうと、既に課税済みの所得が事業所得に算入され、2重に課税される事になってしまいます。

よほど大きな預金がある方を除けば、預金利息が事業所得に算入されたとしても税金的に大きな影響はありませんが、注意しましょう。なお、預金利息の仕訳の詳細は下記記事をご確認ください。

参考にどうぞ
個人事業主の預金利息の仕訳方法。勘定科目は「事業主借」で処理しよう! 「事業用の銀行口座に利子(利息)が入っていたんだけど、これって勘定科目は受取利息として処理すれば良いのかな?」 初めて帳簿を付ける自営業の方がよく悩む問題です...

貸付金から発生する受取利息の会計仕訳・処理方法

預金の次は貸付金から発生する受取利息の処理方法です。

個人事業主の場合、貸付金が発生する機会はそうそう多く無いとは思います。たまに出てくるので仕訳と所得分類を見ておきましょう。

パターンとしては以下の2つが考えられますね。

  • ①知人・友人への貸付金
  • ②取引先や従業員への貸付金

同じ貸付金×受取利息なのに処理が異なるのが不思議かもしれませんが、以下で背景を見ていきますね。

①知人・友人への貸付金から発生する受取利息⇒雑所得に該当

お金と貯金箱

知人や友人への貸付は個人的事情による金銭の貸付なので事業は関係しません。そのため、事業所得には該当しません。また、恒常的に発生するものでもありませんね。

そのため、知人や友人への貸付金から発生する受取利息は「雑所得(参考:No.1500 雑所得|国税庁」に分類され、雑所得の計算は「総収入金額-必要経費」で行います。

友人や知人との貸付金において必要経費は発生しないでしょうし、預金利息のように源泉徴収されることも無いはずなので、仕訳上は当初に決めておいた利率に応じた受取利息を事業主借で処理すればOKです。

前提
・利率2%
・貸付金 100万円
・貸付期間 1年

貸付時の仕訳

借方貸方摘要
事業主貸 100万円現金預金 100万円○○への貸付金(利率2%)

入金時の仕訳

借方貸方摘要
現金預金 102万円事業主借(元本部分) 100万円友人Aからの貸付金返済
事業主借(利息部分) 2万円貸付金の利息

友人等への貸付金は事業には関係させないため、入金・出金ともに相手勘定は「事業主勘定」を使います。なお、「事業主勘定(事業主借・事業主貸)」がいまいち分からない方は下記記事を御覧ください。

参考にどうぞ
個人の会計仕訳の要!「事業主貸」「事業主借」を税理士が分かりやすく事例付で解説! 個人事業主の会計仕訳の要とも言えるのが「事業主貸」「事業主借」の2つの勘定科目です。個人事業主はどうしても事業とプライベートを完全に切り分ける事が出来ないので、この勘定が無いと決算を組むことが出来ません。今回の記事ではいわゆる事業主勘定の会計処理方法を具体例付で紹介していきます。

なお、雑所得への課税は総合課税ですので、給与所得や事業所得を合算した所得に対して課税されますよ。

②取引先への事業融資や従業員への貸付⇒事業所得

では取引先への事業融資や従業員への貸付金だったら、どういう処理になるか?というと、こちらは「事業」に関連した支出ですから、事業所得に関連付ける事になります。

前提
・利率2%
・貸付金 100万円
・貸付期間 1年

貸付時の仕訳

借方貸方摘要
貸付金 100万円現金預金 100万円取引先A社への貸付金(利率2%)

入金時の仕訳

借方貸方摘要
現金預金 102万円貸付金 100万円取引先A社へからの貸付金の返済
受取利息(雑収入でも可) 2万円貸付金の利息

事業主貸・借で処理していた部分が「貸付金」に変わっただけです。簡単ですね。
こちらは、決算書上で言えば営業外収益の「受取利息」または「雑収入」として処理していきますよ。

まとめ

以上、個人事業主で発生しやすい受取利息の会計仕訳を3パターン見てきました。

銀行預金利息に関しては、仕事用の通帳に入金されたものあっても今回紹介した仕訳を入れないと駄目ですが、友人等への貸付金利息は完全プライベート資金です。従って、プライベート口座から貸付を行っていれば「事業主勘定」を使った仕訳を切る必要もありません。

(個人事業主だと少し難しいかもしれませんが)、仕事とプライベートを切り分けるためにも、個人事業主用の銀行口座を作っていない方は作っておくことをおすすめします!

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